NEDO40年史 イノベーションで未来をつくる
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40th196 NEDO 40年史 との間で協定付属書が締結され、同年4月に実証事業が始まりました。2021年度内にはサウジアラビア国内のSWCCの海水淡水化商業プラント内に、1万m3/日の実証プラントを建設する予定です。将来、環境面で優れた本システムが日本発基幹技術として海外展開されることで、水資源の安定的な確保の実現が期待されます。❖ ICT活用型グリーンホスピタル実証事業(インド) [ 2016〜2019年度 ] インドでは、近年の急激な人口増加に伴い、医療サービス市場の拡大と病院インフラの整備が急務となっています。NEDOはインド政府と協力して、インド最大の医療教育機関であるAll India Institute of Medical Sciences(AIIMS)ニューデリー校において、太陽光発電システムや空調設備、LED照明などの省エネルギー機器とICT Platform注3)の導入により、病院内の省エネルギー化と診療の効率化を図る実証事業を実施しました。本事業により機器単体で約30%のエネルギー削減効果を実現するとともに、医療データの電子化などを通じた診療効率化によって、より多くの患者の診察が可能となりました。AIIMSニューデリー校をモデルケースとし、今後インド国内の他病院への普及を目指していきます。❖ 高度交通信号システム(自律分散制御)実証事業(ロシア・モスクワ市) [ 2015〜2017年度 ] ロシアの大都市では深刻な交通渋滞が慢性化しており、経済活動を阻害するのみならず生活環境を悪化させる要因となっています。NEDOはモスクワ市と協力して、信号機間で交通情報を交換して交差点流入量を予測し、待ち時間が最小になるよう、信号周期を自律的に制御するスマート信号システムの実証事業を実施し、最大で40%の渋滞緩和を達成しました。 こうした成果を受け、都市開発分野における日露協力のモデル都市であるヴォロネジ市やウラジオストク市に導入されるなど、普及展開も行われています。2018年に開催された「東方経済フォーラム」では、安倍晋三首相(当時)がこのシステムによる渋滞緩和を日露協力の代表的な成果の一つとして紹介し、高い注目を集めました。図5◉ モスクワ市オニェジスカヤ通りの朝の混雑時間帯における道路の様子<実証前><実証後>図4◉ インドAIIMSニューデリー校全景注3)省エネルギー機器とIT機器を統合して運用することで、エネルギー制御だけでなく医療情報データを一元的に管理・活用し、エネルギー最適管理や診療効率とシステムの改善を行うインフラ基盤従来システム取水取水量約30%減高収率化→60%前処理SWRO収率45%後処理WWT排水量42%減(347)(253)生産水量(100)生産水量(100)取水P取水P高圧PERD排水排水ブースターP①低圧海水淡水化RO幕②高収率海水淡水化ROシステムろ過Pろ過P実証システム図3◉ 従来システムと実証システムの比較

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