NEDO40年史 イノベーションで未来をつくる
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40th198 NEDO 40年史 地球温暖化対策歴史と背景京都議定書からパリ協定へ 1992年、リオデジャネイロで開催された「環境と開発に関する国連会議」(地球サミット)では、地球温暖化は国際社会の喫緊の課題の一つであるとして「国連気候変動枠組条約(UNFCCC)」が採択されました。UNFCCCは、大気中の温室効果ガスの濃度の安定化を究極的な目的としており、地球温暖化対策の国際的な枠組みを議論する場として「気候変動枠組条約締約国会議(COP)」が設立され、1995年のCOP1以降、毎年開催されています。 1997年に京都で開催されたCOP3で「京都議定書」が採択され、UNFCCCの附属書Ⅰ国に対し、2008~2012年の第一約束期間において法的拘束力がある温室効果ガスの排出削減目標が定められました。これにより、日本では第一約束期間に1990年比で6%の温室効果ガスの排出削減が義務付けられました。そのため、国内での対策を最大限努力してもなお不足する1.6%分(CO2換算で約1億t-CO2)に関しては、海外における排出削減量を認証排出削減量など(クレジット)として自国の温室効果ガス排出削減に換算する「京都メカニズム」を活用して目標達成することが決定されました。 日本政府は「京都メカニズムクレジット取得事業」の委託先としてNEDOを選定し、2006年のNEDO法改正を契機に、NEDO内に京都メカニズム事業推進部が組織され、クレジット取得業務が開始されました。NEDOは2006~2013年度の政府との委託事業期間に、約9,750万t-CO2のクレジットを政府口座に移転し、日本の目標達成に大きく貢献しました。 その後、地球温暖化問題は2015年に開催されたCOP21において「パリ協定」が採択され、大きな転換期を迎えます。パリ協定では、世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃未満に抑えるよう努力し、21世紀後半には温室効果ガス排出量と吸収量の均衡を図るという目標が打ち出されました。また、先進国だけでなく途上国も含めた国際社会全体が、温室効果ガスの排出削減目標を掲げるようになりました。日本政府は、2030年度の温室効果ガスの排出量を2013年度比で26%削減し、2050年までに排出を全体としてゼロにする長期目標を掲げて、脱炭素化社会の取り組みを推進しています。 NEDOは京都メカニズムによるクレジット取得業務終了後も、海外で日本の持つ優れた低炭素技術などの実証事業を実施しています。相手国の温室効果ガスの排出削減や持続可能な開発に貢献し、その成果を相手国と分け合う「二国間クレジット制度(JCM)」などを実施しており、2020年7月時点でJCMパートナー国は17カ国となりました。実施に向けて2016年4月に国際部地球環境対策推進室を組織し、引き続き、地球温暖化対策に取り組んでいくこととしています。

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