NEDO40年史 イノベーションで未来をつくる
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Chapter 2  国際関連事業 NEDO 40年史 199 最近10年の主なプロジェクト❖ 京都メカニズムクレジット取得事業 [ 2006〜2017年度 ]  京都議定書における日本の温室効果ガス排出削減の目標達成に寄与するため、日本政府からの委託によって1990年比で1.6%(約1億t-CO2)分のクレジットの取得事業を実施しました。NEDOは、主に「クリーン開発メカニズム(CDM)」や「グリーン投資スキーム(GIS)」を活用しました。具体的にCDMでは、中国、ブラジル、韓国、インド、メキシコにおける計30件のプロジェクトによって2,199万3,021t-CO2のクレジットを取得しました。また、GISでは、ウクライナ、チェコ、ラトビア、ポーランドの各政府が保有する計7,550万t-CO2クレジットを取得しました。2006~2013年度の8年間で、累計9,749万3,021t-CO2のクレジットを取得し、日本の削減目標達成に大きく貢献しました。 GISにおいては、相手国は排出量取引の対価としての環境対策を自国事業として行い、NEDOは相手国の環境対策の進捗管理・指導を行いました。例えばウクライナでは、日本の先進的技術を活用した地下鉄車両の近代化や警察車両の燃料効率化など、374件の環境対策事業を実施しました。チェコでは、約4万戸の戸建て住宅と集合住宅に対する断熱化や太陽熱利用設備などの導入事業を行い、相手国の持続可能な発展や温室効果ガスの排出削減に寄与しています。❖ 民間主導による低炭素技術普及促進事業(旧:地球温暖化対策技術普及等推進事業) [ 2011〜2022年度 ] 日本の優れた低炭素技術・システムの普及拡大や地球規模での温室効果ガスの排出削減を目的に、海外での実証事業を実施しています。加えて、JCMなどを活用し、事業による温室効果ガスの削減効果を「測定・報告・検証(MRV:Mea-surement, Reporting and Veri cation)」に基づき定量化し、日本の国際貢献として発信します。NEDOは、これまでにモンゴル1件、ラオス1件、ベトナム3件、インドネシア3件の計8件のJCM実証事業を実施し、合計約3万9,000t-CO2のクレジットを発行して、相手国と日本の温室効果ガスの排出削減に貢献してきました。 例えばインドネシアにおいては、同国営石油・天然ガス関連会社であるプルタミナが保有する製油所内の動力プラントで、日本発のIoT(Internet of Things)などを活用した制御技術を導入しました。それにより、同社製油所への蒸気・電力の安定供給を確保しつつ、運転の最適制御によって大規模な温室効果ガスの排出削減を達成しました。本事業を通じて得たノウハウなどを、インドネシア国内や他国図8◉ 太陽熱利用設備を導入した住宅(チェコ)図7◉ 燃料効率の優れたハイブリッド自動車(ウクライナ)図10◉ 運用最適化技術を導入した製油所の動力プラント(インドネシア)図9◉ 従来比で出力消費量40%削減を目指した省エネルギー型データセンター(ラオス)

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