NEDO40年史 イノベーションで未来をつくる
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Chapter 2  国際関連事業 NEDO 40年史 201国際研究開発/コファンド事業歴史と背景日本企業の国境なき研究開発のために 経済のグローバル化により、技術競争や市場環境の変化がますます激しくなる中、企業の研究開発戦略においても、国境を越えて優れた技術や人材を活用せざるを得ない時代となりました。このような背景の下、日本企業の国際連携とオープンイノベーションを促進することを目的として、NEDOは2015年度に「国際研究開発/コファンド事業」を開始しました。日本企業が優れた技術を持つ外国企業と共同で実施する国際研究開発プロジェクトに対し、NEDOと相手国のファンディング機関が並行して自国企業の研究開発費用の一部を助成します。当初イスラエルやフランスと開始したこの事業は、その後国際連携を拡大し、2020年度は欧州を中心とする各国研究開発支援機関の国際的なネットワークであるEUREKAとの連携により、7カ国との共同公募を実施しています。 最近10年の主なプロジェクト ❖ 日本-イスラエル共同研究開発「パブリックセーフティ向け自律分散型LTE無線通信システムの研究開発」 [ 2016〜2017年度 ] 日本側の実施者である日本無線株式会社が強みを持つ無線技術やハードウエア設計・品質管理技術と、イスラエル側の実施者であるMER-Cello Wireless Solu-tion(現・MER Group)の先進ネットワーク・ソフトウエア設計技術、ユニークな製品開発アイデアを相互補完的に掛け合わせ、映像などの大量情報伝送を可能とする防災などのパブリックセーフティーに向けて、高速無線通信機能をワンボックスきょう体に集約した可搬型LTEシステム装置の試作機を開発しました。日本無線からは「NEDOコファンド事業を活用することで日本無線側の開発コストを抑えられただけでなく、イスラエルイノベーション庁からMER-Cello Wire less Solutionに対しても助成がなされ、円滑な共同研究開発体制を構築・維持することができました。また、オープンイノベーションに基づく事業化が加速し、プライベートLTEの海外事業の実現、次世代ローカル5G開発への大きなアドバンテージが得られました」と評価いただいています。企画、公募(採択、評価、 資金支援などの検討) 公募・採択・助成提案・実施・報告日本国企業など(企業の参画は必須。研究所、大学等の参加も可)イスラエル フランス ドイツスペイン チェコイギリス カナダ【EUREKA GlobalStars】(多国間共同公募方式)国際協力推進共同研究開発の検討、応募、実施共同研究推進2020年度公募対象国相手国日本 公募・採択・支援提案・実施・報告相手国企業など(企業の参画は必須。研究所、大学等の参加も可)図11◉ 2020年度「国際研究開発/コファンド事業」のスキーム図図12◉ 可搬型LTEシステム装置の試作機LTEコア網、基地局、アプリサーバーおよびバッテリー機能を可搬可能なワンボックスきょう体に集約し、目的の開発要件をすべて満たす可搬型LTEシステム装置開発を達成 先進ネットワーク技術、ソフトウエア設計無線技術、ハードウエア設計、品質管理共同研究

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