NEDO40年史 イノベーションで未来をつくる
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Chapter 2  新産業創出・シーズ発掘 NEDO 40年史 207ムが取り組む産業応用を意図した研究開発に対して助成を行う制度です。産業界や社会のニーズに応える産業技術シーズの発掘・育成や産業技術研究人材の育成を図ることを目的としています。また、産学官連携の集中拠点において、連携する研究拠点と協働して行う試作・実証、性能評価などの成果開発を助成することで、より効果的・効率的に実用化を推進しました。❖ NEDO先導研究プログラム [ 2014年度〜 ] エネルギー・環境分野や新産業創出に結び付く産業技術分野において、2030年以降の社会実装を目指す「エネルギー・環境新技術先導研究プログラム」および「新技術先導研究プログラム」と、2050年頃を見据えた革新的な技術・システムを対象とする「未踏チャレンジ2050」を産学連携の体制で実施し、革新的な技術の原石を発掘して、将来の国家プロジェクト化への道筋をつけることを目指す制度です。 [ 事業成果例 ① ] 宇宙用デトネーションエンジン(名古屋大学ほか [ 2014〜2016年度 ]) 自発予圧縮機構付き回転デトネーションエンジン(RDE:Rotating Detonation Engine)は、これまでの常識を越えた極めて高いタービン入り口温度設定、熱効率が可能な技術です。本先導研究事業を通じて世界でも有数の安全性・耐圧性能を持つ現象計測装置とシミュレーションによる燃焼原理解明を行い、高性能なRDEの開発に成功しました。こうした成果が評価され、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)宇宙科学研究観測ロケットによる宇宙飛行実証プロジェクトに採択されました。[ 事業成果例 ② ] 鉄-アルミニウム-シリコン系熱電材料(国立研究開発法人物質・材料研究機構ほか [ 2018〜2020年度 ]) IoT社会の到来に向け、多数のセンサーなどに電力を供給する独立電源の開発が求められています。そのため本先導研究事業を通じて、鉄-アルミニウム-シリコン系熱電材料を開発し、この熱電材料を使った熱電発電モジュールを世界で初めて開発しました。 容易に入手できる汎用元素だけで材料を構成するため、従来の熱電発電モジュールに比べて熱電材料費を1/5以下に削減できる可能性があり、モジュール全体の製造コストの低減と量産化が見込まれます。本成果を通じて、室温から200℃までの低温度域での微小温度差を用いた自立電源の本格的な普及と社会実装を推進します。❖ 官民による若手研究者発掘支援事業 [ 2020〜2024年度(予定) ] 大学などに所属する若手研究者を発掘し、若手研究者と企業との共同研究などの形成の促進を支援することで、次世代のイノベーションを担う人材の育成を目指す事業です。また、実用化に向けた目的指向型の創造的な基礎研究や応用研究を行う大学などに所属する若手研究者を支援することで、次世代のイノベーションを担う人材を育成するとともに、新産業の創出に貢献することも目指します。 2020年度から開始した新しい事業であり、初年度では、若手研究者が所属する出典:名古屋大学図1◉ 宇宙用デトネーションエンジン図2◉ 熱電発電モジュール(1cm角サイズ)とIoT機器の試作機BLE通信(体温などの温度差で発電し通信)1cm1cm

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