NEDO40年史 イノベーションで未来をつくる
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Chapter 2  新産業創出・シーズ発掘 NEDO 40年史 209中小・スタートアップ支援歴史と背景研究開発型中小企業・スタートアップに脚光 2010年代に入り、先進国のみならず新興国との競争の激化や日本の国際競争力の低下が進む中、経済の活性化や新規産業、雇用の創出の担い手として、新規性や機動性に富む研究開発型の中小企業やスタートアップに対する期待がますます高まっています。こうした社会的背景から、NEDOは研究開発型の中小企業やスタートアップを対象として、創意工夫のある研究開発を支援する事業を複数展開してきました。 近年、様々な政府戦略においてもスタートアップへの支援の重要性がうたわれ、多くの政府系機関でスタートアップ支援が展開されてきました。また、民間の投資会社などからのスタートアップに対する支援も年々手厚くなっており、これまではなかなか投資対象となりにくかった研究開発型スタートアップに対する支援も充実してきたと言えます。こうした世の中の流れに合わせ、NEDOも徐々にスタートアップに対する支援を展開してきました。 特に2010年代後半から、スタートアップに特化した支援事業を新たに開始しています。この新たな支援事業では、単に研究開発の支援のみならず、専門家らによるビジネスプランの構築に関する助言などを組み合わせた支援を行っているほか、投資会社や事業会社と連携したスキームを採用することで、スタートアップを支える環境の整備を目指すなど、従来の事業になかった要素を取り入れています。 2018年度に設定されたNEDOの第4期中長期計画でも、取り組みの3本柱の1つとして、研究開発型スタートアップの育成を掲げ、引き続き、中小企業やスタートアップへの支援に取り組んでいきます。また、スタートアップに対する支援を行う他機関との連携を深め、支援の輪を広げることにも注力してきました。これらの取り組みを通じて、NEDOは研究開発型スタートアップに対する支援のハブの役割を担っていきます。 最近10年の主なプロジェクト❖ 研究開発型スタートアップ支援事業 [ 2014〜2023年度(予定) ] 企業や大学、研究機関などが保有する技術シーズの発掘から事業化までを一貫して政策的に推進することで、研究開発型スタートアップの創出と育成を図り、経済活性化や新規産業・雇用の創出につなげることを目的としています。研究開発型スタートアップは、限られたリソースの中で、研究開発や新たな市場の開拓に伴うリスクを負いながら、事業を進めることとなります。そのため、本事業では、研究開発のみならずビジネスプラン構築も含めた支援を、スタートアップの成長段階に応じてシームレスに展開しています。 2020年度は、大学などに所属する研究者などに対してビジネスプラン構築を支援する「Technology Commercialization Program(TCP)」や、起業や事業化加速に向けて初期の研究開発・市場調査などを支援する「Entrepreneurs Program

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