NEDO40年史 イノベーションで未来をつくる
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40thエネルギー・環境・産業技術の40年と未来へ向けて ①持続可能な循環型社会に向けた イノベーションの歩み 持続可能なエネルギー自然由来エネルギーの活用を推進ビジネスモデルの創出に貢献再生可能エネルギーへの挑戦 1973年に起きた第一次オイルショックを契機に、過度な石油依存度を低めるため、国として初めて石油代替エネルギーの開発を進めたのが、1974年の「サンシャイン計画」です。1978年からは省エネルギー技術に関する長期計画「ムーンライト計画」も立ち上がり、1993年にはこれらを統合して、「ニューサンシャイン計画」がスタートしています。NEDOは1980年の設立当初から、これらのエネルギー計画に沿って石油代替エネルギーの重要な候補であった再生可能エネルギーの開発を目指し、プロジェクトを推進してきました。 再生可能エネルギーで当初取り組んだのは太陽熱発電です。1981年に香川県仁尾町(現・三豊市)に太陽熱発電のパイロットプラントを建設し、世界で初めて1,000kWの太陽熱発電に成功しています。 太陽光発電については、1981年から低コスト化・高効率化を目指したプロジェクトを開始し、1986 年には愛媛県西条市に電気事業用の1MWの太陽光発電所を建設、試験運転を開始しました。また同年、兵庫県六甲アイランドに200kW系統連系システムの実験場も完成し、実用化に向けた本格的な技術開発、実証を加速させていきました。世界で深刻化する地球温暖化や環境問題─。NEDOは、設立以来推進してきた「持続可能なエネルギー」に加え、資源循環を創り出す「サーキュラーエコノミー」、生物資源を活用する「バイオエコノミー」の3本柱を中心に、持続可能な循環型社会に向け、様々なプロジェクトを推進してきました。 その後も、2002年に群馬県で住宅553戸に太陽光発電システムを配置した実証事業や、2006年度から大規模太陽光発電システム(メガソーラー)の実証など、実社会での大規模な活用を想定した実証を進めていきます。平行して、革新的な太陽電池の開発も進め、2004年にNEDOは「太陽光発電ロードマップ(PV2030)」を策定、2009年にはこれを、技術課題にとどまらず、システム関連課題、社会システムなどを踏まえて「PV2030+」として改定し、早くから太陽光発電の大量導入に備えた道筋を提示しました。 当時、地球温暖化対策が世界共通の課題となり、2005年に、二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスの排出量削減目標を定めた京都議定書が発効され、日本は1990年比で6%の削減義務が課されました。環境問題への意識を追い風に、日本の太陽電池産業は2003年には生産量、導入量とも世界の約45%を占め、1999年から2007年までは日本の太陽電池生産量が世界一となるなど、NEDOプロジェクトの成果も、太陽光発電の実用化・普及を牽引しました。 また、風力発電では、1981年度から100kW級パイ太陽光発電の大量導入が進む中、課題解決のための開発が本格化。群馬県太田市で集中連系型太陽光発電システムを実証研究22 NEDO 40年史

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