NEDO40年史 イノベーションで未来をつくる
37/288

Chapter 1  Part 1  エネルギー・環境・産業技術の40年と未来へ向けて収集に必要なセンシング技術の高精度化を図る「IoT社会実現のための革新的センシング技術開発」を2019年度から実施しています。NEDOは従来からデバイス関連の技術開発を進めてきましたが、その目的は単体の開発から、「Society 5.0」の実現へと大きく変化したといえます。 加えて、デジタル制御や「Society 5.0」時代に対応するものづくり技術開発も重要性が高まっていきます。NEDOは、デジタル制御との親和性が高く、今後も需要拡大が見込まれるレーザーとその加工技術の高輝度化・高効率化を図る次世代レーザー技術に関するプロジェクトを2016年度から実施し、多品種少量生産時代のものづくりを支援しています。時代の変化を先取りする AI技術開発 「Society 5.0」の実現に向けては、大量のデータを探索・分析するAIが不可欠です。「第5期科学技術基本計画」が閣議決定された2016年、総務省・文部科学省・経済産業省が所管する5つの国立研究開発法人を束ねた「人工知能技術戦略会議」が創設されました。同会議では2017年3月に「人工知能技術戦略」を取りまとめ、AIの重点分野に「生産性」 「健康、医療・介護」 「空間の移動」の3分野とその横断分野である「情報セキュリティ」を特定しました。 当初NEDOは、AIの主要応用分野をロボットと想定して取り組み始めましたが、国の方針を受け、社会のニーズに合わせた様々なアプリケーションに向けてAI開発を積極的に展開していきます。しかし、AIはデータを与えることで機能を変化させていく、いタの共有プラットフォームを構築するプロジェクト「IoTを活用した新産業モデル創出基盤整備事業」を2017年度から実施し、データ活用黎明期にあった日本のIoT推進に欠かせない標準仕様の整備や規制・制度の見直しなどを進める役割を果たします。こうしてIoT活用の素地を整えた後、2019年度から「Connected Industries推進のための協調領域データ共有・AIシステム開発促進事業」で、データの共有・活用による新サービス開発の支援事業を開始し、データを活用した新ビジネス創出や、共通する社会課題解決のための企業間を超えたデータ共有への動きを社会に広めていきました。デジタル社会に向けた 新たなデバイス、ものづくり NEDOのIoT技術開発は、データを扱う「システム」だけでなく、「デバイス」 「ものづくり」を加えた3つの分野を包括的に推進しているのも特徴です。例えば、情報処理技術の進化に伴い、サーバーの消費電力増大や半導体微細化の限界といった既存技術の課題が顕在化しています。これらの課題を解決すべく、従来の集約型に対して分散型の情報処理を行うAIエッジコンピューティング技術や、量子アニーリングや脳型コンピューターといった次世代コンピューティング技術を開発する「高効率・高速処理を可能とするAIチップ・次世代コンピューティングの技術開発」を2016年度から進めています。 さらに、材料・ナノテクノロジーの観点からデータデジタル制御との親和性が高いレーザー加工機でCFRPを本州の形に切り抜いたものNEDOプロジェクトで開発が進む、日本初の量子アニーリングマシンのイメージ NEDO 40年史 35

元のページ  ../index.html#37

このブックを見る