NEDO40年史 イノベーションで未来をつくる
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Viewpoint 40th─ 2020年、NEDOは設立40周年を迎えることができました。 設立40周年おめでとうございます。40年前、NEDOが新設される際は、民間から理事長を選定するよう日本経済団体連合会(経団連)に一任され、当時の経団連会長だった土光敏夫氏が初代の運営委員長に就任しました。初代理事長も元日立の副社長の綿森力氏にお願いした経緯があり、経団連はNEDOの設立時から深い関係がありました。 当時は二度のオイルショックを経験し、日本経済の発展にエネルギーの多様化が必要となり、新エネ・省エネの取り組みが始まった時代で、NEDOが推進したサンシャイン計画も良く覚えています。産業界からの期待も大きかったですね。─ 経団連では、経済成長に向けてSociety 5.0の実現を掲げています。Society 5.0で日本はどのように経済成長していくとお考えでしょうか。 Society 5.0は2016年にスタートした第5期科学技術基本計画で提唱されたものです。私も総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)の有識者議員として策定の議論を積み重ね、基本計画の大きな柱の一つと位置付けました。その後、Society 5.0を自ら実現するために2018年に経団連会長に就任しました。 高度成長期は、技術を磨いて良いモノをリーズナブルな値段で作っていれば売れる時代でした。ところが今は違います。デジタルトランスフォーメーション(DX)、すなわちデジタル技術とデータ活用の進展に伴い、産業構造、社会基盤など、経済社会そのものの抜本的な変革が進みつつあります。これからの産業は、人間や社会に対する新たな価値の創造を起点に再構築する必要があります。デジタル技術と様々なデータを人間の想像力や創造力を駆使して活用し、人間を幸せにする社会を創造する。それこそがSociety 5.0の姿です。─ 2020年は全世界がかつてない事態に見舞われました。経団連会長として現状をどう思われますか。 新型コロナウイルス感染症で世界経済は未曾有の大打撃を受けています。感染拡大の今後の動向に大きく左右され、経済の正常化には長期間を要する可能性があります。そうした中、新型コロナウイルス感染症対策においても、DXが極めて有効であることが世界各国で実証されています。 翻って日本では、コロナを契機にデジタル化の遅れが浮き彫りとなりました。オンラインで授業を継続することが可能となる教育のデジタル化、医療従事者と患者の双方の感染リスクを抑制するオンライン診療の拡大、感染予防のためのデータの利活用、経済的支援を必要とする国民に迅速に給付を可能とする地方行政のデジタル化といった社会の広い領域のデジタル化が求められています。日本は新型コロナウイルエネルギー・環境・産業技術の40年と未来へ向けて中西 宏明氏 一般社団法人日本経済団体連合会 会長株式会社 日立製作所 取締役会長Society 5.0に向けた社会課題解決への歩みSociety 5.0実現に向けた取り組みとNEDOへの期待38 NEDO 40年史

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