NEDO40年史 イノベーションで未来をつくる
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Chapter 1  Part 1  エネルギー・環境・産業技術の40年と未来へ向けてんだ産学官民によって創造することが重要です。こうしたイノベーションエコシステムの構築が今、求められていると痛感します。 技術は重要ですが、技術だけでは社会は変わらない。技術的に可能でも社会に受容されなければ実装されない。研究開発に携わる人たちは、積極的に社会と対話し、社会の望む方向を知り、社会に貢献する意識を強く持つことが必要だと思います。─ 最後に、次の10年に向けて、NEDOに期待することがあればお願いします。 NEDOは、技術の評価をしっかりと行い、次なる時代に必要な技術開発をプロモーションする「イノベーション・アクセラレーター」として、その存在はかねてより産業界から高く評価されてきました。技術革新のスピードが加速している上、解決すべき課題が複雑化し、個別企業での対応が難しくなっている現代にあって、その存在意義はますます高まっていると感じます。 NEDOにおかれては、今後、さらにグローバル展開を図ることにより、日本のさらなる発展に向けた新たな道を切り拓いていかれることを大いに期待しています。経団連としても、Society 5.0の実現に向け、NEDOとの連携強化を図ってまいりたいと考えています。ス感染症を契機に、社会全体のDXを目指すべきです。─ NEDOでもSociety 5.0の実現に向けた産学官による様々な研究開発を実施しています。研究開発やイノベーションについてどのようにお考えでしょうか。 2021年度からの開始に向け、新たな基本計画策定の議論が進んでおり、Society 5.0の実現を目指していると聞いています。そうした中、基本計画の名称が「科学技術・イノベーション基本計画」になることは、象徴的だと思います。産学官が課題意識を共有し、革新的な技術の開発を行うとともに、それらを社会に実装し、Society 5.0を実現することが必要です。 なお、研究開発に関する政策は、従来の「選択と集中」から「戦略と創発」への転換を図るべきです。日本として政策的に重要な領域には国家としての戦略性ある投資が不可欠ですし、それに加え、想定外のシーズが生まれる可能性を追求する創発的な研究に力を入れることも重要です。─ どのような研究開発でも最終的には成果が社会実装されることが必要と思いますが、そのためには何が必要でしょうか。 技術が社会実装されるためには、研究開発の力だけでは不十分です。研究開発の成果を活用して新たな市場や産業を創出し、その果実を社会が享受し、また次なる新しい研究開発投資が起こるという好循環の仕組みを、産学官のみでなく一般の人々も巻き込中西 宏明氏 (NAKANISHI Hiroaki)東京大学工学部電気工学科卒業後、日立製作所入社。1979年米国Stanford大学院修了。2003年執行役常務、04年執行役専務、06年執行役副社長、10年取締役代表執行役 執行役社長、14年取締役代表執行役 執行役会長兼CEO、16年取締役会長 代表執行役などを経て、18年4月より取締役会長 執行役。2018年5月より経団連会長。 NEDO 40年史 39

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