NEDO40年史 イノベーションで未来をつくる
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Chapter 1  Part 1  エネルギー・環境・産業技術の40年と未来へ向けて先進的実証で新たなビジネスモデルを 2000年代になると成長著しい新興国のインド、ASEAN(東南アジア諸国連合)、中東などに対象範囲を広げ、省エネルギー技術を中心とする実証を行うようになります。そして2010年以降は中国やアジア新興国の躍進、温暖化の進行に伴う地球規模での環境意識のさらなる高まりを受け、イノベーションの加速も視野に入れながら、各国のニーズや社会情勢を踏まえた国際共同研究開発事業へと、NEDOの国際事業のスキームも姿を変えていきます。 特に2010年頃からは、市場未整備や規制などの影響で日本での実施が難しい実証を、環境が整った海外でいち早く実施する取り組みも開始しました。スマートコミュニティ実証では、高度なエネルギーマネジメントシステム(EMS)を中心に複数の日本の優れた技術をパッケージ化し、技術やサービスのノウハウを蓄積しながら、日本の技術の普及につながる実証事業を進め、新たなビジネスモデルの創出にも取り組んできました。 2009年度に開始した「米国ニューメキシコ州における日米スマートグリッド実証」では、太陽光発電とEMS、蓄電池を組み合わせた配電系統潮流制御や、電気料金割引などによる電力消費行動の変化を促すデマンドレスポンスによる電力需要ピ-クの抑制を実現しました。この実証事業には、太陽光発電、蓄電池システム、通信、データ管理・活用など様々な企業が参加してオールジャパンで事業を加速し、その後に続く様々なスマートコミュニティ関連実証につながる取り組みの先鞭となっています。熱利用や石炭の有効利用技術など、日本の優れた省エネルギー技術や環境技術の現地における実証を推進しました。また、日本が世界に先駆けて技術開発を推進していた太陽光発電システムも、電力供給が行き渡っていない国や地域において、その土地の地形や気候を生かした実証事業を行うことで、いち早く世界での普及を後押ししています。スマートコミュニティの実証事業として、米国ニューメキシコ州アルバカーキ市に設置された実証サイト電力供給網の整っていない地域での太陽光発電システムの普及に向け、1992年度にモンゴルで実施した携帯発電システムの実証研究シリコンバレー事務所ワシントン事務所米国カリフォルニア州米国国立標準技術研究所(NIST)米国エイムズ国立研究所IRENA アドナン・アミン事務局長とNEDO 古川理事長(当時)と協力協定書に署名 2012年1月UNIDO リー・ヨン事務局長とNEDO 石塚理事長が会談 2018 年4月国際エネルギー機関(IEA)国際再生可能エネルギー機関(IRENA)国際連合工業開発機関(UNIDO)国際機関 NEDO 40年史 41

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