NEDO40年史 イノベーションで未来をつくる
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40th また、早くからEVが注目され普及が進んでいる米国カリフォルニア州では、自動車メーカーと商社によるEVの行動範囲拡大実証事業を2015年度に開始しました。NEDOはEVユーザーの利便性やニーズを把握し、日本でのEV普及に必要なインフラやアプリケーションの構築を視野に入れて、カリフォルニア州と連携しながら取り組んでいます。京都メカニズムから 二国間クレジットへ 1997年の「国連気候変動枠組条約第3回締約国会議(COP3)」の後、2005年に「京都議定書」が発効されたことも、NEDOの国際事業に大きな変化をもたらしています。日本は2008~2012年の間に1990年比で-6%となる温室効果ガスの排出量削減という目標達成に向けて、2005年に「京都議定書目標達成計画」が閣議決定されました。これに基づき、2006年から、NEDOの国際事業に「京都メカニズムクレジット取得事業」が加わります。 NEDOは、京都メカニズムクレジット取得事業を政府から委託を受ける形で実施し、2016年度までにはトータルCO2約1億t分のクレジットを取得し、日本の目標達成に貢献しました。 2015年に開催された「国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)」では、2020年以降の温室効果ガス排出削減などの新たな国際枠組みとして「パリ協定」が採択されます。そして、途上国における低炭素技術等の実証事業による排出削減量の定量評価を実施し、発生したクレジットを日本と実施国の削減量としてカウントする「二国間クレジット制度」(JCM)を活用した事業が、重要度を増していきます。2020年12月時点での日本のパートナー国は17カ国となりました。こうした政府方針を受けてNEDOは、「地球温暖化対策技術普及等推進事業」を発展させた「民間主導による低炭素技術普及促進事業」を2018年度から実施しています。タイやインドネシアなどで、高効率な電力システムの実現やプラントの運転制御最適化といった低炭素技術の普及につながる実証事業を進め、地球規模での温室効果ガス排出量の削減に貢献しています。海外機関との連携を強化 一口に海外実証といっても、日本の技術を海外で実証するには相手国のルールや現地の特性などを把握する必要があり、様々な機関との調整が必要になります。特にエネルギーや環境技術は現地のインフラと密接に関係してくることから、調整内容も多岐にわたり、一企業で取り組むには難しいのが現状です。そこでまず、相手国の政府や関係機関との様々な調整をNEDOが行い、関係構築を進めて事業推進の合意文書などを締結します。その上で日本の企業が相手国企業と連携しながらプロジェクトを実施する形で進めています。特に2010年代になると、グローバルなオープンイノベーションの必要性が国内でも強く求められるようになり、NEDOはこれまで以上に、国際関係の構築に力を入れてきました。 現在、米国にはワシントン事務所とシリコンバレー事務所の2拠点を設け、アジアではタイのバンコク事務所、中国の北京事務所、また、広くヨーロッパをカバーする欧州事務所はフランスに、経済発展著しいインドにはニューデリー事務所と、合計6つの事務所が広くグローバルにNEDOプロジェクトをカバーし、各国との協力関係の構築・情報収集などを行っています。 こうした海外事務所の活動を踏まえ、これまでに米国エイムズ国立研究所といった各国研究機関や政府機関のほか、国際エネルギー機関(IEA)や国際再生可能エネルギー機関(IRENA)など5つの国際機関と協力協定を締結するなど、国際間協力の実現に向けた体制を整えています。 例えば、フランスの技術開発ファンディング機関運用最適化技術を導入した製油所の動力プラントでのJCM実証事業(インドネシア)42 NEDO 40年史

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