NEDO40年史 イノベーションで未来をつくる
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Chapter 1  Part 1  エネルギー・環境・産業技術の40年と未来へ向けてを持つ外国企業と共同で実施する国際研究開発プロジェクトに対し、NEDOと相手国の研究開発・イノベーション支援機関が覚書(MOU)などを締結して共同公募を行い、平行して自国企業に助成を行うものです。これまでに、IT、通信分野などにおいて革新的な技術を有するイスラエル、バイオ・ヘルスケア分野に強みを持つフランス、自動車・機械産業を得意とするドイツといった国々と事業を進め、テクノロジーの進化が速い分野で新たな市場創出を後押ししています。 そして、エネルギー分野でグローバルに革新的な技術を生み出すため、2020年度に開始したのが「クリーンエネルギー分野における革新的技術の国際共同研究開発事業」です。本事業では、これまでNEDOが積極的に技術展開を進めてきたクリーンエネルギー分野で、2030年以降の実用化を想定した非連続な価値の創造につながる技術シーズの発掘や育成を目指し、これまでに構築した各国・地域との関係も生かして、諸外国が持つ先進技術と研究資源を活用しながら国際共同研究開発を推進していきます。 グローバル化が進んだことで国際競争が激しさを増しているのと同時に、日本の成長にとってもグローバル規模でのオープンイノベーションの重要性がさらに高まっています。また、持続可能な社会の実現に向け、エネルギー・環境問題の解決が強く求められる時代となり、地球規模での課題解決に取り組むには国際連携が不可欠となっています。NEDOは今後もグローバル・ネットワークを活用しながら産業界の海外進出を後押しすることで、世界的視野に立ったビジョン実現とイノベーション創出を目指していきます。である環境・エネルギー管理庁(ADEME)とは、前身であるAFMEと1991年に情報交換協定を締結して以来、ほぼ毎年、合同ワークショップを開催するなど、密接な協力関係を保っています。また、ドイツとは、エネルギーや地球環境問題に関する政策と関連技術を議論する場として「日独エネルギー・環境フォーラム」の開催を継続しており、連邦環境・自然保護・原子炉安全省(BMU)、連邦経済エネルギー省(BMWi)などとの共催で過去10回のフォーラムを開催してきました。そして、スペイン企業の技術開発活動を支援するスペイン政府・産業技術開発センター(CDTI)とは、2012年以来、合同ワークショップを開催するとともに、2019年からは、日西企業連携を促進させる従来の「ジャパン・スペイン イノベーションプログラム」を発展させる形で、「国際研究開発/コファンド事業」による共同公募を実施するなど関係を強化しています。 さらに、気候変動問題の解決には、1国対1国ではなく、より大きな国際的な協力が欠かせません。そこでNEDOは経済産業省と共に、エネルギー・環境技術のイノベーションを促進する方策を議論する国際会議「Innovation for Cool Earth Forum(ICEF)」を、2014年から毎年主催しています。エネルギー・環境分野で世界をリードする産学官関係者が一堂に会し、知を集結した議論と協力を促進する場として、各国政府・機関との関係構築に貢献しています。「Direct Air Capture(大気中からCO2を直接回収する技術)」などの革新的な技術の開発・普及に向けたビジョンの共有と議論促進のためのロードマップを作成し、気候変動枠組条約締約国会議(COP)で発表するなど、積極的な活動を展開しています。国際的なオープン イノベーションを推進 近年は、世界各国が国境を超えて優れた技術開発に取り組みながら、新規市場獲得にしのぎを削る時代となっています。日本の国際的なオープンイノベーションを加速するスキームとして、2015年度からは、「国際研究開発/コファンド事業」に力を入れてきました。この事業は日本企業が優れた技術シーズ地球環境問題の解決に欠かせない国際的な協力関係を築く場として、2014年から毎年NEDOが主催するICEF年次総会本会議の様子 NEDO 40年史 43

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