NEDO40年史 イノベーションで未来をつくる
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40thエネルギー・環境・産業技術の40年と未来へ向けて ④スタートアップ支援の歩み新たな産業を生み出す イノベーションの重要性 今、世界各国でスタートアップ支援の重要性が認識され、それぞれの状況に応じたスタートアップ支援政策が実施されています。各国で都市を中心にスタートアップ・エコシステムが構築されており、例えば米国では産業や大学、人材等が多く集積するシリコンバレーで多くのスタートアップが誕生するなど、イノベーション創出拠点が作られてきました。そして、主にITスタートアップの成功者たちが、後進を育成し、産業を生み出す好循環を構築しています。 日本において、イノベーションが国の競争力の原動力であると認識されるようになったのは、1980年代のことです。日米貿易摩擦などを契機に基礎研究の強化が求められ、1990年代に入るとバブル崩壊など厳しい経済状況となる中、1995年、政府は「科学技術基本法」を策定するなど、イノベーションによる産業力強化に取り組んできました。NEDOの重要な機能の1つが、研究開発型スタートアップを支援することです。研究開発支援に加え、スタートアップが自然発生的に生み出される「スタートアップ・エコシステム」の構築を目指し、他機関と連携してスタートアップの支援体制を整備してきました。また、近年重要視されているオープンイノベーションを推進するためのハブとして、様々な活動を展開しています。 その後、長期の経済低迷からの脱却を目指す動きが活発化し、2010年代に入ると、新しい発想や技術力を持ったスタートアップにイノベーションの担い手としての期待が高まり、彼らの研究開発を後押ししようという動きが生まれます。 その大きな契機となったのが、2013年6月に閣議決定された「日本再興戦略 ─JAPAN is BACK─」です。その後、2016年まで毎年改訂された本戦略で、ベンチャー・新事業を生み出す仕組みの構築を目指すことが示されました。特に、2014年6月の『「日本再興戦略」改訂2014』では、技術シーズの迅速な事業化を促すため、新たなイノベーションの担い手として期待されるスタートアップ等への支援を強化することが盛り込まれ、長年研究開発マネジメントを行ってきたNEDOがその一端を担うようになります。例えば、長期的な成長が見込まれるものの、実用化リスクの高い研究開発型スタートアップ企業を中心に支援する「イノベーション実用化ベンチャー支援事業」を実施し、2013~2014年度にかけて、262社が支援を受け、それをきっかけに事業化に成功した事例も数多く出ています。実用化支援から エコシステムの構築へ NEDOが2014年度から開始した「研究開発型スタートアップ支援事業(旧名:研究開発型ベンチャー支援事業)」では、研究開発型スタートアップの創出・育成と支援環境の整備を目的に、研究開発や事業、資金「イノベーション実用化ベンチャー支援事業」で成果を出した3次元ビジョンセンサー。産業ロボットに見て考える機能を付加し部品供給の自動化を実現。第13回産学官連携功労者表彰において、経済産業大臣賞を受賞46 NEDO 40年史

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