NEDO40年史 イノベーションで未来をつくる
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Chapter 1  Part 1  エネルギー・環境・産業技術の40年と未来へ向けてを受けたスタートアップはその後、ベンチャーキャピタル等から、NEDOの支援額の約6倍にあたる576億円の資金を調達することに成功しています。世界に飛躍、グローバルな オープンイノベーション実現へ 近年、経済活動のグローバル化が加速する中、米国では、GAFA(Google・Amazon・Facebook・Apple)に代表されるITスタートアップがさらに大きく成長し経済を牽引しています。産業の新陳代謝を促し経済を活性化していくためにも、世界に飛躍するスタートアップの育成は欠かせません。そこで政府は2018年6月に「未来投資戦略2018」や「統合イノベーション戦略」を閣議決定し、「企業価値又は時価総額が10億ドル以上となる、未上場ベンチャー企業(ユニコーン)又は上場ベンチャー企業を2023年までに20社創出」という新たな目標を設定しました。この目標を達成するため、経済産業省はスタートアップ企業の育成支援プログラム「J-Startup」を立ち上げ、NEDOは日本貿易振興機構(JETRO)と共に、事務局を担当しています。 「J-Startup」では、グローバルレベルで高い競争力を持つ可能性のあるスタートアップを「J-Startup企業」として選定し、ビジネスマッチングや広報・イベントなど、官民を挙げて様々な集中支援を実施することで、世界で勝てるスタートアップの育成を目指しています。 このJ-Startup企業には、NEDOがこれまで支援し大きく成長してきたスタートアップも数多く選ばれています。調達の進捗度合い等を考慮した複数の制度を設け、幅広い支援を展開しています。研究開発に対する支援のみならず、支援人材による助言など、ビジネスプランの構築・強化に着目した支援を行う点が大きな特徴です。 現在では、起業を視野に入れている人に、ビジネスプラン作成研修やメンターからの助言、ピッチコンテストの機会を提供する「Technology Commercial-ization Program(TCP)」や、事業化支援人材(事業カタライザー)による指導・助言を受けながら研究開発を実施する「NEDO Entrepreneurs Program(NEP)」といった、起業初期段階での支援を行っています。また、NEDOが認定したベンチャーキャピタルなどと協調しスタートアップを支援する「シード期の研究開発型スタートアップ(STS)に対する事業化支援」や、提案時から数年で継続的な売り上げをたてる具体的な計画がある研究開発型スタートアップを支援する「Product Commercialization Alliance(PCA)」など、様々な機関と連携してスタートアップ支援の環境作りをしています。特にSTSへの支援は、制度発足当時、民間ベンチャーキャピタルなどからの研究開発型スタートアップへの投資がそれほど活発ではなかったことから、投資側のリスクを低減し、NEDOの助成金を民間資金呼び込みの「呼び水」となることを狙ったものです。さらに、研究開発型スタートアップに対しハンズオンによるサポートを行うベンチャーキャピタルをNEDOが認定することで、協調して支援するスキームを採用しています。 これらの制度が発足してから2019年度までの6年間で、NEDOはのべ427件のスタートアップに、合計93億4,000万円の資金を提供しており、その支援スタートアップイノベーター支援事業の卒業第1号となった、スマートロック「Akerun」。本事業で4.5億円の資金調達を実現(当時)「CEATEC2018」での、J-Startupブース出展の様子 NEDO 40年史 47

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