NEDO40年史 イノベーションで未来をつくる
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40th4 NEDO 40年史  「NEDO」の名で知られる国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構は、日本が二度目の石油危機に見舞われた直後の1980年10月に設立されました。それから40年間、石油代替エネルギーの開発や導入を積極的に推進し、多くの産業分野の技術開発において成果を残してきました。 例えば、エネルギーの分野で言えば、2019年、吉野彰博士がノーベル化学賞を受賞し話題となったリチウムイオン電池について、NEDOは、材料評価技術を確立することにより、国内企業の開発効率を向上させ、高性能・低コストの蓄電池の早期実用化を後押ししてきました。また、燃料電池自動車の普及に欠かせない水素ステーションについても、ガソリンスタンドに併設できるよう小型化を目指す中で、NEDOの支援を通じ、現地で製造する装置を従来の1/2の大きさに、製造効率も80%を実現することに成功し、商用化されました。 エネルギー分野以外にも、日本の超高齢化社会に備え、ロボットを福祉や介護の分野で活用しようと研究開発を支援してきました。その一つが「ロボットスーツHALⓇ」です。簡易なセンサーで人の歩こうとする意思を生体電位信号として検知し動作を補助する装着型ロボットで、医療・福祉分野への導入は例のないものでしたが、NEDOが、ユーザー、医療専門家、安全・倫理の専門家と一体となった体制を構築し、開発を後押しした結果、2010年に販売を開始、国内外の医療機関や介護施設で稼働するに至りました。 このように、これまで、エネルギー・環境技術、産業技術の研究開発から技術実証、導入普及までを推進し、イノベーション創出を後押しする機関となっているNEDOは、日本の誇る政策実施機関であると言っても過言ではありません。 日本は、今や世界最高水準の省エネルギー技術や環境に優しい技術を有する国となりました。こうした中で、2020年10月、政府は「2050年カーボンニュートラルの実現を目指す」ことを宣言いたしました。この鍵となるのは次世代型太陽電池やカーボンリサイクルをはじめとした「非連続な革新的イノベーション」であり、今後、実用化を見据えた研究開発を加速度的に促進しなければならない状況にあります。 NEDOは、既に「ムーンショット型研究開発事業」でカーボンニュートラルに資する研究開発に取り組んでおります。また、2014年には、NEDO内に「技術戦略研究センター(TSC)」を設立し、これまで、政府の「革新的環境イノベーション戦略」などの政策立案に必要なエビデンス・知見を提供し、今では政府にとって欠かせない存在となっております。政府が総力を挙げて取り組むカーボンニュートラルの実現に向け、NEDOが非常に大きな役割を果たすことを期待しております。経済産業大臣梶山 弘志 氏NEDO創立40周年に際してメッセージ

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