NEDO40年史 イノベーションで未来をつくる
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Chapter 1  Part 2  NEDO40年の沿革 NEDO 40年史 594月 熊本地震6月英国がEU離脱決定7月九州北部豪雨9月北海道胆振東部地震10月 リチウムイオン電池の開発で吉野彰氏がノーベル化学賞を受賞1月 新型コロナウイルス感染症が世界的に拡大4月 新型コロナウイルス感染症拡大により緊急事態宣言発出、世界各地でも都市封鎖が相次ぐ>> 世の中の動き20162017201820192020スペインのマドリードで開催されたCOP25のジャパンパビリオンで行われたサイドイベントに登壇する及川副理事長(右)(2019年)世耕経済産業大臣(当時、中央)立ち会いの下、古川理事長(当時、右)がサウジアラビア海水淡水化公社(SWCC)と実証事業実施の基本協定書を交換(2018年)国際間水素サプライチェーン実証事業における神奈川県川崎市の脱水素プラントを視察する梶山経済産業大臣(右)と石塚理事長(右から3人目)(2020年) 2015年の国連採択アジェンダに目標として示されたSDGs(持続可能な開発目標)が普及し、世界的に環境問題や社会問題への意識がさらに高まっていきます。また、同年12月の「国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)」で合意された「パリ協定」や、世界で多発する海洋プラスチック問題、大規模自然災害など、国内外で様々な課題が浮き彫りになります。 そこでパリ協定の目標達成に向け、国は2020年1月に「革新的環境イノベーション戦略」を策定し、世界のカーボンニュートラル、さらには、過去のストックベースでのCO2削減を可能とする革新的技術を2050年までに確立する「ビヨンド・ゼロ」などを提言します。それに呼応する形で、NEDOは2020年2月に「持続可能な社会の実現に向けた技術開発総合指針2020」を策定、「持続可能な社会を実現する3つの社会システム」を定義すると同時にシンボルマークを制定し、技術開発のみならず、研究制度・研究環境の整備や社会実装に対する各種支援策など、引き続き政策と連携しその実現に向け取り組んでいます。 また、NEDOが「ムーンショット型研究開発事業」で取り組む「2050年までに、地球環境再生に向けた持続可能な資源循環を実現」という目標では、まさにこうした課題の解決に向け、大気中のCO2を直接回収(DAC:Direct Air Capture)して有益な資源に転換する技術や、農地や工場などから低濃度で排出されている窒素化合物を無害化・資源転換する技術、海洋に流出しても適切なタイミングとスピードで生分解するプラスチックの開発といった挑戦的な研究開発を開始しています。 NEDOはこれまで経済産業省とともに、エネルギー・環境のイノベーションをグローバルで加速するべく「Innovation for Cool Earth Forum(ICEF)」や「水素閣僚会議」、「カーボンリサイクル産学官国際会議」などエネルギー・環境に関する国際会議を開催し、革新的環境イノベーションの実現に向け、経済産業大臣のリーダシップの下、活発な議論を後押ししてきました。こうした中、2020年9月に菅義偉首相率いる内閣が発足し、10月の所信表明演説において、デジタル社会やグリーン社会の実現が大きく打ち出されます。特に「グリーン社会の実現」では「2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする」という脱炭素社会の実現が宣言され、これを踏まえて経済産業省は12月に「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」を策定しました。この戦略は、国が掲げる「2050年カーボンニュートラル」への挑戦を「経済と環境の好循環」につなげるための産業政策で、NEDOも大きな役割を担うこととなります。 2020年は新型コロナウィルス感染症により、社会の至る所で様々な影響が生じました。そうした中だからこそ、社会の変化や時代の要請に併せて、NEDOはこれからも「イノベーション・アクセラレーター」として、産学官の皆様と共に不確実な時代を乗り越え、持続可能な社会の実現に貢献し続けていきます。「イノベーション・アクセラレーター」として、2050年のカーボンニュートラル実現へ2020年 「技術開発総合指針 2020」を策定し「持続可能な社会を実現する3つ の社会システム」のシンボルマークを制定「ムーンショット型研究開発事業」研究開発開始

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