NEDO40年史 イノベーションで未来をつくる
63/288

Chapter 1  Close-up  技術戦略研究センター誕生 NEDO 40年史 61 本レポートには政策当局、産業界、学術界から大きな反響があり、経済産業省が主催の「研究開発・イノベーション小委員会」をはじめとした審議会や勉強会などで、政府機関の要請で情報提供を実施しました。具体的な将来像を発信 ミッションの第2段階である“将来像を描く”際には、戦略策定の前段階で、情報を収集し分析した結果から組み上げた将来像を世に問い、フィードバックを得ることが重要と考えています。2019年6月に閣議決定された「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略」に基づき、2020年1月に政府は「革新的環境イノベーション戦略」を策定しています。TSCは同戦略について、政府の準備作業に協力しつつ、NEDOが提唱する「持続可能な社会を実現する3つの社会システム(ESS:3 Essential Social Sys-tems for Sustainable Society)」の一体的で有機的な推進を実現し、気候変動問題の解決に向けた技術開発の在り方や目指すべき方向性などを示す取り組みの指針として、2020年2月に「持続可能な社会の実現に向けた技術開発総合指針2020(NEDO総合指針)」を策定しました。また同時にESSのシンボルマークを制定し、同指針と併せて公表しました。 本指針では、持続可能な社会の実現に向け重要となる 「サーキュラーエコノミー」 「バイオエコノミクト推進部とは別に、新しい独立した部署として設置されました。具体的なプロジェクトを実施する上では推進部との連携が欠かせないため、テーマ策定などについて経済産業省の政策当局に加えて推進部とも協調して進めています。 ミッションを再定義 NEDOが技術開発・実証のナショナルプロジェクトを企画・検討する上で重要になるのが、社会実装されたときの姿を描くことです。新しい技術が実際に世の中で使われるまでには、様々な社会の制約やルールも同時に検討する必要があります。産業技術に関する国家戦略について政策立案を行う国に対し、関係省庁や民間企業と議論を重ね、その裏付けとなるデータを提供することなどもTSCの活動の一つです。NEDOの「第4期中長期計画」(2020年変更認可)でこうした役割がTSCの重要な業務として加えられるなど、活動の幅を広げています。 このように、年々重責が増すTSCは2020年4月に、ミッションを「社会の変化を敏に捉え、将来像を描き、実行性のある提言を行う」と再定義しました。このミッションを3段階に分け、それぞれへの具体的な対応を迅速に進めています。社会の潮流の変化を敏に捉える ミッションの第1段階である “社会の変化を敏に捉える”に関して、「TSC Foresight短信レポート」を発表する取り組みを始めました。早速第1弾として 「コロナ禍後の社会変化と期待されるイノベーション像」を2020年6月24日に発刊しています。昨今のデジタル革命やグローバル化の進展により、イノベーション創出のスピードが加速されていく中で生じた、新型コロナウイルス感染症の感染拡大が与える影響について、国内外の情報を収集・分析し、複眼的な視点から議論を重ね、コロナ禍後に期待される社会のイノベーション像として取りまとめています。「持続可能な社会の実現に向けた技術開発総合指針2020(NEDO総合指針)」の記者会見の様子

元のページ  ../index.html#63

このブックを見る