NEDO40年史 イノベーションで未来をつくる
64/288

40th62 NEDO 40年史 Close-up技術戦略研究センター誕生ー」「持続可能なエネルギー」の3つの社会システムの定義、概念整理を行い、それらの一体的かつ有機的な推進が重要であること、2050年を見据えてCO2排出量削減に大きな効果のある技術を削減ポテンシャルや削減コストといった観点を含め、総合的・客観的に評価が重要であることを提唱しています。同指針で提示した3つの社会システム(ESS)の実現に向けた取り組みを強化していくことで、世界の気候変動問題の解決に、最大限貢献していきます。重要技術分野の戦略を策定 ミッションの第3段階“実行性のある提言を行う”として、様々な分野の技術戦略を策定しています。具体的には、グローバルな政策・産業・市場・技術の視点から「勝ち筋」を見極めるため、価値を生み出せる技術を絞り込んで、社会実装に結びつけるべく、様々な角度から調査・分析を行います。また、社会情勢や社会課題の変化を迅速に政策に反映できるよう、「産業技術政策の策定に必要なエビデンスや知見を提供する重要なプレーヤー」として政策当局と一体となり活動しています。 こうして策定した技術戦略や分析結果は、ナショナルプロジェクトの企画立案に加えて、産業技術政策の立案などに活用されています。例えば、2015年に発表した機能性材料分野の技術戦略は「超先端材料超高速開発基盤技術プロジェクト」(2016~2021年度)に発展し、バイオプラスチック分野の技術戦略は経済産業省の「海洋生分解性プラスチック開発・普及導入ロードマップ」(2019年5月公表)策定に活用されています。また、策定した技術戦略のうち37分野(2020年9月時点)において、国内外の開発動向や市場動向、日本の産業競争力の国際的な立ち位置、今後に向けた技術開発課題などを「TSC Foresight」としてウェブサイトで公表しています。加えて、レポート概要の紹介や各界を代表する有識者による講演などを行う「TSC Foresight セミナー」を開催しています。TSC独自の戦略的プロセスの構築 ミッションの実現に向け、特徴的な取り組みとして、TSCは「オールキャスティング型アプローチ」を独自に開発し、総合的、多面的な観点から実行性のある調査・分析活動を実施しています。具体的には、社会的な要請や課題を踏まえた上で、上位政策における、もしくはTSC自らが提示する、実現すべき社会像を起点とし、その打ち手としての技術開発課題などを抽出する「バックキャスティング手法」と、既存技術の現状や新たな技術シーズを起点として将来に向けたロードマップを描く「フォーキャスティング手法」とを組み合わせています。この手法では、真に社会が必要とする技術戦略や政策に資するエビデンスとして取りまとめることが可能となります。重要分野社会・政策ニーズ技術市場グローバルな社会課題国内外の政策動向先端技術や企業・研究機関の動向グローバルな産業・市場動向2018年度に開催した「TSC Foresight」セミナーの様子▶ グローバルかつ多様な視点で、社会・政策・市場・技術動向を分析し「勝ち筋」を導き出す

元のページ  ../index.html#64

このブックを見る