NEDO40年史 イノベーションで未来をつくる
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Chapter 2  エネルギーシステム分野エネルギーシステム技術 NEDO 40年史 75燃料電池・水素歴史と背景新たな低炭素エネルギーの柱に パリ協定で定められた温室効果ガス(GHG)削減目標の達成のためには、電力セクターのゼロエミッション化のみならず、運輸・産業・民生分野などすべての領域で低炭素化が必要であり、様々なセクターにおいて低炭素化に貢献できる燃料電池・水素への期待が国際的にも高まっています。 NEDOは、1981年から燃料電池・水素分野の技術開発を推進しています。初期段階においては、燃料電池の高い発電効率に着目し、火力発電の代替を視野に入れたMWクラスの燃料電池システムの開発を進めました。1990年代に入り、定置用のみならず自動車用電源としても期待される固体高分子形燃料電池の開発に着手。また、水素を直接エネルギーとして利用するための国際的なサプライチェーンをイメージした「水素利用国際クリーンエネルギーシステム技術研究開発(WE-NET)」を立ち上げました。 2000年代は、よりアプリケーションを意識した取り組みを進めました。分散型電源として家庭用の燃料電池システムを開発。日本各地で約3,500台のシステムを設置して性能などの検証を行い、2009年に「エネファーム」として一般販売開始に結び付けました。燃料電池自動車(FCV)に関しては、700気圧での充填が可能な水素ステーションの開発、公道でのFCVやバスの走行検証などを経て、2014年のFCVの市場投入につなげました。これらアプリケーションの導入にあたっては、いずれも規制の見直しや基準・標準の策定が不可欠であり、NEDOは安全に関するデータの取得・分析を中心に、この新たなルール策定に貢献してきました。 2014年6月に策定された経済産業省「水素・燃料電池戦略ロードマップ」を踏まえ、水素を燃料とするガスタービン発電技術や長距離・大量輸送技術の開発を開始しました。また再生可能エネルギーと水電解装置を組み合わせた、パワー・ツー・ガス(P2G)の技術開発にも着手するなど、水素の利活用の大幅な拡大、低炭素社会に向けた新たなエネルギーシステムの実現に向けた取り組みを進めています。 最近10年の主なプロジェクト >> 水素活用❖ 水素利用技術研究開発事業 [ 2013〜2017年度 ] 国内の自動車メーカーと水素供給事業者によるFCVの市場投入とユーザーへの販売開始を目指した動き、さらに水素供給事業者による水素供給インフラの先行整備を目指す動きを背景に、水素ステーションの設置や運用に関する規制見直2-1-1. エネルギーシステム技術

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