NEDO40年史 イノベーションで未来をつくる
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40th76 NEDO 40年史 し、初期・運用コストの削減に寄与する実用化技術開発を行いました。またNEDOがこれまで実証水素ステーションで得た知見を活用し、社会受容性を高める観点からも、より一層の安全・安心に配慮した次世代水素ステーションの技術開発にも取り組みました。❖ 水素利用等先導研究開発事業 [ 2014〜2022年度 ] 本事業は2040年以降という長期的視点を睨み、水素などの「カーボンフリーなエネルギーの新たな選択肢」としての地位を確立させることを目指した基礎研究を推進しています。具体的には、再生可能エネルギーからの高効率低コスト水素製造技術、水素の長距離輸送・長時間貯蔵を容易にするためのエネルギーキャリア技術や大規模水素利用技術といった、水素社会の実現に必要不可欠な大規模サプライチェーンの構築に向けた先導的な研究開発に取り組んでいます。本事業の研究成果が次の大型研究開発事業の技術シーズとなるよう運営していきます。❖ 水素社会構築技術開発事業 [ 2014〜2022年度 ] 再生可能エネルギー由来の電力による水素製造、輸送・貯蔵と利用技術を組み合わせたエネルギーシステムを社会に実装するためのモデル確立を進めています。このほか、水素を燃料とするガスタービンなどを用いた発電システムや、海外の未利用資源を利用した大規模な水素サプライチェーンの構築といった今後の本格的な水素社会の構築に向け、水素エネルギー利用を大きく拡大するための研究開発・実証を世界に先駆けて行っています。❖ 超高圧水素インフラ本格普及技術研究開発事業 [ 2018〜2022年度 ] 2025年以降の水素ステーションの自立化、2030年以降の水素ステーションの事業自立化に向け、水素ステーションの整備費・運営費を低減することを目指し、国内の規制適正化に関するデータ取得と基準案の作成・提言を行っています。また本格普及期を想定した水素ステーションの技術基準案を作成し、日本の水素ステーション関連技術の国際競争力の観点から、国際基準調和・国際標準化に関する研究開発も実施しています。 最近10年の主なプロジェクト >> 燃料電池❖ 固体酸化物形燃料電池システム要素技術開発 [ 2008〜2012年度 ]  固体酸化物形燃料電池システムを早期に市場導入するために必要な基盤技術の確立を目的として、固体酸化物形燃料電池の耐久性・信頼性向上のための熱力学的解析、化学的解析、機械的解析を行い、劣化機構の解明、対策立案と効果検証、加速試験方法の確立などに取り組みました。特に、性能に大きな影響を与える三相界面については、劣化現象と微細構造変化の相関付けを行いました。また、固体酸化物形燃料電池の実用性向上のために、運用性を向上する起動停止技術や超高効率運転を可能にする高圧運転技術開発を支援しました。図1◉ 実証事業を行った水素ステーションの様子

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