NEDO40年史 イノベーションで未来をつくる
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40th80 NEDO 40年史 蓄電池歴史と背景重要性増す蓄電池の技術開発 電気を蓄え、繰り返し使用可能にする電気化学デバイスが蓄電池です。1980年代後半から1990年代前半にかけ、ニカド電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池(LIB:Lithium Ion Battery)と続く技術革新が起こり、蓄電池は情報端末・エレクトロニクス機器の電源として広範に普及しました。その結果、世界各地の社会・大衆にコミュニケーションの自由や豊かな生活スタイルといった恩恵をもたらしました。こうした蓄電池の技術革新と量産化で世界をリードしてきた日本の功績は計り知れず、2019年には、LIBの開発に貢献した旭化成株式会社の吉野彰氏にノーベル化学賞が授与されています。そして今日、蓄電池は自動車の電動化、電力システムの自由化、再生可能エネルギーの導入量拡大、災害対応、スマートコミュニティの社会実装など、様々な分野で重要な役割を担う産業技術となり、技術開発による高性能化・低コスト化への期待が高まっています。 NEDOは、設立当初から蓄電池の技術開発に取り組んでおり、40年の歴史があります。当初は定置用蓄電システムと自動車用蓄電池を2つの柱としてプロジェクトを推進してきましたが、2010年からは新たな柱として蓄電池材料評価技術を加えた3つの柱でプロジェクトを推進しています。プロジェクトで取り扱う蓄電池のタイプも、1980年代はナトリウム硫黄電池やレドックスフロー電池でしたが、1990年代からはLIBが主な開発対象となりました。そして現在は、全固体LIB注1)やフッ化物電池、亜鉛空気電池などの次世代蓄電池の開発に軸足を移しています。図6◉ NEDOにおける蓄電池開発プロジェクトの系譜注1)現在実用化しているLIBで使用される有機溶媒電解液を無機固体電解質で代替し、安全性・耐久性を向上させたLIB(年度)

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