NEDO40年史 イノベーションで未来をつくる
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40th82 NEDO 40年史 ト化・高性能化を図るための技術開発に取り組みました。プロジェクトの主な開発目標は、EV用バッテリーパックの性能についてはエネルギー密度250Wh/kg以上、出力密度1,500W/kg以上、PHEV用バッテリーパックの性能についてはエネルギー密度200Wh/kg以上、出力密度2,500W/kg以上、コスト目標については2万円/kWh以下(EV用とPHEV用で共通)、となります。 本プロジェクトには6つの企業グループが参加し、新規の電極活物質・電解液の開発、合剤電極・セルの高エネルギー密度化技術の開発などに取り組むとともに、その成果を盛り込んだセル・バッテリーパックの試作・評価を行い、効果を検証しました。❖ 革新型蓄電池実用化促進基盤技術開発 [ 2016〜2020年度 ]  NEDOは、LIBの延長線上にない超高エネルギー密度の蓄電池、すなわち、革新型蓄電池の実用化を目指した世界初の産学連携プロジェクトである「革新型蓄電池先端科学基礎研究事業」を2009~2015年度に実施しました。その結果、独創的な蓄電池のコンセプトが創出されるとともに、世界初の蓄電池専用放射光ビームラインを用いた蓄電池のメカニズム解明技術が開発されました。 本プロジェクトでは、革新型蓄電池の車載バッテリーとしての実用化を狙い、上記のプロジェクトの開発成果を活用して、電極活物質、電解質、セル化技術などの共通基盤技術の開発を進めています。 本プロジェクトでは、産学連携の集中研究拠点を京都大学と産業技術総合研究所・関西センターに設けています。ここに日本を代表する自動車・蓄電池メーカー11社の研究者がビジネスの競合・売買関係といった垣根を越えて結集し、サテライトの大学・公的研究機関21法人とも緊密に連携しながら、サイエンスに立脚した研究開発を推進しています。また、京都大学の集中研究拠点にはNEDO職員が常駐し、日常的に研究開発マネジメントを実施しています。 プロジェクトの開発目標は、容量5Ah級のフルセルでエネルギー密度500Wh/kg以上を確認するとともに、車載バッテリーに求められる出力特性、耐久性、安全性などに克服不可能な課題がないことを検証することです。 安価で調達リスクのない材料を使用し、高エネルギー密度と安全性の両立が可能となる革新型蓄電池の候補として、現在、①フッ化物電池、②亜鉛空気電池、③コンバージョン電池、④金属硫化物電池の4タイプを検討しています。このうち、②~④はプロジェクト3年目に5Ah級セルで300Wh/kg以上のエネルギー密度を確認しています。これ以降も新規の着想が続々と生まれており、①も含めての目標達成が大いに期待できる状況にあります。図10◉ 日立製作所・日立オートモティブシステムズが開発した30Ah級セル図11◉ 東芝が開発した30Ah級セル図13◉ 世界初の蓄電池専用放射光ビームライン実験ステーション(BL28XU)8軸X線回折装置高分解能中性子回折装置図12◉ パナソニックが開発した20Ah級セル

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