NEDO40年史 イノベーションで未来をつくる
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Chapter 2  エネルギーシステム分野エネルギーシステム技術 NEDO 40年史 83❖ 先進・革新蓄電池材料評価技術開発[ 第1期 : 2013〜2017年度、 第2期 : 2018〜2022年度 ] 蓄電池の高性能化には電極活物質や電解質などの新材料の適用が必須ですが、その開発においては、セル内での他の材料との相互影響やセル製造プロセスへの適合性も見極める必要があります。そのため、蓄電池材料の実用化には5年以上の長期間を要し、この中には材料メーカーと蓄電池メーカーの評価方法や評価基準などの違いに起因する開発非効率が存在します。この非効率を解消するため、NEDOは産業界の共通指標として機能する蓄電池材料の評価技術の開発に取り組んできています。 その第一歩として実施した「次世代蓄電池材料評価技術開発」(2010~2014年度)では、既に実用化されているLIBの高性能化を狙い、標準電池モデルとこれを用いた性能評価法を開発しました。標準電池モデルとは、新規材料の評価に使用するセルのことで、蓄電池メーカーのセル製造プロセスを再現した設備で作製したものです。それにより、材料メーカーから400以上の新材料サンプルを受け入れ、性能評価と評価結果のフィードバックを行いました。 本プロジェクトでは、将来の実用化が想定される蓄電池に適用する新規材料の評価技術を開発しています。第1期では、高電圧・高容量の電極活物質や難燃性電解液などを用いた先進的なLIBと、安全性と耐久性のポテンシャルの高さから実用化の期待が急速に高まり始めた全固体LIBの評価技術を開発しました。加えて、材料メーカーから受け入れた300以上の新材料サンプルを評価しました。第2期では対象を全固体LIBに絞り込み、車載バッテリーとしての実用化に対応する評価技術の開発に取り組んでいます。 本プロジェクトでは、産学連携の集中研究拠点を技術研究組合リチウムイオン電池材料評価研究センター(LIBTEC)に設けています。ここに自動車・蓄電池・材料メーカー24社の研究者・エンジニアが結集し、サテライトの大学・公的研究機関19法人とも緊密に連携しつつ、様々な技術ニーズ・シーズを好循環させながら研究開発を推進しています。 現在は、界面の抵抗低減、電解質の薄層化、合剤電極内での活物質の高分散化といった全固体LIB特有の課題解決に注力しています。標準電池モデルは2cm角と7cm角の単層ラミネートセル(8~200mAh級)を開発済みであり、1Ah級の積層ラミネートセルの開発に着手しています。並行して、セル・バッテリーパックの充放電特性や発熱特性などを予測するシミュレーション技術や国際標準化を念頭に置いた試験評価法の開発も進めています。図14◉ 開発中の亜鉛空気電池セル設計容量:8Ah電極サイズ:5×5cmエネルギー密度:312Wh/kg図15◉ 開発中のコンバージョン電池セル設計容量:6Ah正極活物質:FeF3 負極活物質:Li Metal電解質: 1M LiPF6/ EC+DMC電極サイズ:5×5cm電極積層数:15-layers エネルギー密度:319Wh/kgセル設計容量:8Ah正極活物質:VS4 負極活物質:Li Metal電解質: 1M LiPF6/ EC+DMC電極サイズ:5×5cm電極積層数:20-layers エネルギー密度:314Wh/kg図16◉ 開発中の金属硫化物電池

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