NEDO40年史 イノベーションで未来をつくる
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NEDO 40年史 7 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の設立40周年を心よりお慶び申し上げます。 国際エネルギー機関(IEA)とNEDOは共に1970年代のオイルショックを背景に、エネルギーセキュリティーの強化を目的に設立された機関です。現在は両機関とも電力市場、クリーンエネルギーへの転換、気候変動、大気汚染、エネルギー・アクセスといったテーマを含め、より広範なエネルギーセキュリティー課題への対応を進める上で主導的役割を果たしています。 2020年はCOVID-19という未曾有の世界的な危機に直面し、エネルギー部門は大きな打撃を受けています。移動の制限や経済活動の停滞により、2020年の世界のエネルギー需要は大幅に落ち込む見込みです。また全世界のCO2排出量も記録的に低下し、2010年以来の低水準になると思われます。これは本来ならば歓迎すべき傾向ですが、残念ながらモビリティと経済活動の停滞がもたらした結果によるものであり、適切な政策的措置を講じない限り、早期の好転は望めません。 このため、IEAは2020年6月に「Sustainable Recovery」レポートを発表し、その中で各国政府にサステナビリティを景気刺激・経済回復策の中心に据えるよう求めています。このレポートは国際通貨基金(IMF)との協力により作成されたもので、持続可能な再生計画は経済成長の促進と何百万もの雇用創出を導くものであり、さらにはCO2排出量を構造的に低減させ、パリ協定で示された長期目標の達成への道を開くことにつながる、としています。また2020年7月に発表されたIEAの別のレポート「Clean Energy Innovation」では、世界のネットゼロエミッションの達成に向けて、現在用いられている技術では不十分であるとし、イノベーションの重要性を強調しています。特にこれは「低減が困難」な部門、すなわち長距離トラック輸送、船舶輸送、航空、鉄鋼、セメントといった産業部門の脱炭素化に当てはまることです。 40年前に太陽光発電の開発で世界をリードしたNEDOは、再生可能エネルギー、水素、蓄電池、省エネルギーといった多くの分野におけるイノベーション技術の開発を推進してきました。長年にわたりNEDOが成功を収めてきたことが、今や日本のみならず世界のクリーンエネルギーへの転換を力強く後押ししています。 IEAとNEDOは、これまで長きにわたり様々な分野で充実した技術協力や意見交換を行ってきました。NEDOが今後も安全で安価な持続可能エネルギーの開発を推進していく中で、両者のこの関係が一層強化されていくことを大いに期待しています。 (NEDO翻訳)boost to clean energy transitions, not only in Japan but also around the world. The IEA and NEDO have a rich history of collaborating and exchanging views on technologies across many elds. I look forward to continuing to strengthen this relationship in the pursuit of secure, a ordable and sustainable energy, now and in the future.

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