NEDO40年史 イノベーションで未来をつくる
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40th90 NEDO 40年史 現状と課題さらなる系統連系技術開発と新たな電力ビジネス  日本では、2012年以降のFIT制度が呼び水となって再生可能エネルギーが積極的に導入されるようになりました。 再生可能エネルギーの導入にあたっては、事故時の復旧、電力需給の調整、配電網における電圧安定化などの対策を検討する必要があり、NEDOはその技術開発や実証で一定の成果を得てきました。これらの成果が電力の安定供給・品質維持に貢献したこともあり、日本の再生可能エネルギー発電比率は2010年度の9.5%から2018年度には16.9%と増加しています。今後再生可能エネルギーの大量導入に向け、系統連系運用時の容量制約の解消や電力周波数変動時の安定性確保などが課題として浮上しており、NEDOはこの分野でも多くの検討を進めています。 海外に目を向けると、2015年の「パリ協定」を契機に脱炭素化の動きが加速しており、欧州主要国の再生可能エネルギー発電比率は2017年時点で30%前後に到達しています。スマートコミュニティ市場では、再生可能エネルギーや蓄電池価格の大幅低下、EVブーム、分散型エネルギー資源を活用したデマンドレスポンスやバーチャルパワープラントビジネス、事業継続計画(BCP)などのレジリエンス向上を目的としたマイクログリッドなどを実現しようとする動きが活発化しています。こうした世界レベルで変革が進む事業環境を見据え、NEDOは新たな電力需給モデルを技術面及びビジネス面から検証する実証事業を実施してきました。今後もさらなる再生可能エネルギーの普及が見込まれる中、海外におけるスマートコミュニティ市場の動向を注視し、新興国を含む世界のエネルギー関連需要へ的確に対応していくことで、日本のエネルギー・環境分野における優れた技術・システムを積極的に海外展開し、エネルギーセキュリティーの向上や脱炭素化に貢献することが求められています。今後と展望再生可能エネルギーの主力電源化に向けて 再生可能エネルギーを普及促進するためには、エネルギー分野の技術開発に加え、国・地域ごとの特性に合わせた技術をシステムとして提供することが必要です。 今後、日本におけるさらなる再生可能エネルギーの普及のため、系統安定化に貢献する技術開発を行うとともに、国・地域ごとに異なるニーズに対して、NEDOが図32◉ 大型EVバスの事例10分間充電走行による大型EVバス実証事業(マレーシア)(2015〜2020年度)風力発電システムを含むエネルギーインフラ実証事業(ロシア連邦サハ共和国)(2017〜2020年度)図33◉ マイクログリッドシステム構築の事例

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