NEDO40年史 イノベーションで未来をつくる
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Chapter 2  エネルギーシステム分野再生可能エネルギー技術 NEDO 40年史 93るために必要となる課題解決策を検討した「PV Challenges」を策定しました。「PV Challenges」では、発電コストの低減、信頼性向上、立地制約の解消、リサイクルシステムの確立、産業の高付加価値化といった戦略が示され、NEDOは同戦略に基づいた技術開発を行いました。 特に、太陽光発電の大量導入社会を迎えるにあたり、国民負担の増大、長期に安定した発電量確保の要求、廃棄物大量発生の対応、立地制約の顕在化、グローバル競争の激化という5つの課題が顕在化してきており、NEDOではそれらの課題に対処するためのプロジェクトを推進してきました。 具体的なセル・モジュール関連の技術開発としては、1990年代当初はまだ高価であった太陽電池の低コスト化を目指して、低シリコンで製造可能な薄膜型や、脱シリコンを目指したCIS型などの新たな化合物系太陽電池の研究を実施しました。加えて、2015年度からは次世代型太陽電池として、高効率のⅢⅤ系太陽電池、フィルム形状化が可能なペロブスカイト太陽電池についても将来の事業化に向けた技術開発を進めています。 最近10年の主なプロジェクト❖ 高性能・高信頼性太陽光発電の発電コスト低減技術開発 [ 2015〜2019年度 ] 既存の電源との競争性を持つため、2020年までに発電コストを14円/kWh、2030年までに7円/kWhを実現すべく、高性能と高信頼性を両立した太陽電池の開発を実施しました。実用化が進んでいる結晶シリコン太陽電池とCIS系太陽電池については、太陽電池のコスト低減と効率向上を、また、次世代のⅢⅤ系太陽電池やペロブスカイト太陽電池については、将来の量産化に向けた要素技術の確立に取り組みました。 また、これらと並行して様々な条件下での太陽光発電の評価技術の開発や、太陽光発電システムの高精度な発電量評価において役立つ日射量データベース構築などの分野でも成果を上げています。図2 ◉ NEDOの太陽光発電に関するプロジェクト年表年度政策2012201320142015201620172018201920202021202220232024固定価格買取制度(FIT制度)開始~2020年度末までにFIT制度を抜本的に見直す方針太陽光発電開発戦略(PV Challenges)太陽光発電開発戦略2020(予定)(NEDO PV Challenges 2020)高性能・高信頼性太陽光発電の発電コスト低減技術開発太陽光発電主力電源化推進技術開発太陽光発電システム効率向上・維持管理技術開発プロジェクト太陽光発電リサイクル技術開発プロジェクト太陽光発電システム長期安定電源化基盤技術開発太陽光発電システム長期安定電源化基盤技術開発太陽光発電多用途化実証プロジェクト新たな政策

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