NEDO40年史 イノベーションで未来をつくる
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Chapter 2  エネルギーシステム分野再生可能エネルギー技術 NEDO 40年史 95現状と課題導入量拡大と顕在化している課題 太陽光発電システムは、モジュール価格の低下により、この10年間で発電コストも大きく低減して、既存電源とも競争力を持つようになってきました。これも相まって、世界の太陽光発電の導入量は急激に増加し、2018年における世界の累積導入量は500GW(DCベース)を超えました。 日本では、2012年6月末時点の導入量は5.6GWでしたが、FIT制度によって急速に導入量が増え、2019年3月末では49.5GW(ACベース)の設備が稼働しており、日本国内の電源構成の約6%を太陽光発電が賄うまでになっています。 一方で国内企業のシェアは海外製の安価なパネルの流入により低下してきました。セル・モジュール関連の国内産業の競争力強化のためには、モジュールの効率向上とコスト低減だけでなく、高付加価値化や新たな設置環境への対応が必要となっています。特に、太陽光発電設備の設置場所の適地は減少しており、これまで導入が困難な場所にも設置を可能とする技術が望まれています。例えば、曲面追従を可能としたり、軽量化や同じ面積で発電量を格段に上げたりする技術などが実現することで、ビル壁面や自動車など移動体、強度の弱い屋根などへの展開が可能となります。 また、既に導入されている既存設備に関する課題も顕在化してきました。例えば、風水害による太陽光発電設備の破損なども想定した太陽光発電設備の安全性の確保が喫緊の課題となっており、さらに、小規模な太陽光発電設備ではFIT制度の買取終了とともに設備が廃棄されることも想定され、2030年代には大量の廃棄モジュールが発生する懸念があります。このため、発電設備を安全に長期間稼働させる信頼性評価技術、信頼性回復技術や廃棄後のリサイクル技術も不可欠になってきました。 併せて、太陽光発電が大量導入されることで、系統容量が逼迫するといった系統連系における課題への対応も必要な状況となっています。図7◉ 世界の太陽光発電の累積導入量出典:IEA PVPS:Trends in Photo voltaic Applications 2018、Snapshot of Global Photovoltaic Markets 2019

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