Focus NEDO No.46

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「がん」をみつける。なおす。佐久間私は医療工学の専門家として、医療画像の情報を用いて手術・治療手段を何らかの形で誘導するという技術に関する研究をしています。外科手術だけでなく放射線治療のI M R T(強度変....

「がん」をみつける。なおす。佐久間私は医療工学の専門家として、医療画像の情報を用いて手術・治療手段を何らかの形で誘導するという技術に関する研究をしています。外科手術だけでなく放射線治療のI M R T(強度変調放射線治療)なども含め、ここ1 4 ~ 1 5年で、画像を使ったナビゲーションの技術は非常に進歩してきていると思います。その背景には、コンピューターの進化によって、従来は難しかった大規模な三次元計算が高速にできるようになったことがあります。現在、臨床で使われているダ・ヴィンチ※2という外科手術システムがありますが、それに限らず、あのような精密な機器で、小さな機械で、かつまた身体の中で動くといったような機械の技術などはかなり進んだのではなふんごういかと思っています。吻合※3する機械や電気メスなど、従来からある基本的な技術をコンピューターでコントロールできる小型・多機能なものができてきました。これらは現在の臨床現場でお役に立っているのではないかと思います。加藤私は産婦人科の臨床および臨床研究でがんに長くかかわってきました。産婦人科の中で一つ例外的に治り始めた絨毛がんについて、その原因を突き止め、他のがんに応用できないかということが研究動機だったのですが、絨毛がんが治るようになった理由は二つあります。一つは絨毛がんを診断し、病状を追跡する方法――具体的に言うとHCGというホルモン、一種の腫瘍マーカー※4で妊娠の診断に使うタンパクなのですが、これが発達して非常に良い診断法ができたこと。もう一つは、何度でも使えて、かつ副作用がコントロールできるメソトレキセートという治療薬の開発によって治療成績が飛躍的に向上したこと。この二つの要因によって、日本では現在、ほとんど絨毛がんでの死亡はなくなりました。この絨毛がんでの経験から、がんを治すためには正確で簡単な診断法と何度でも使えて侵襲が少なく、かつリーズナブルな価格の治療方法、この二つのコンビネーションが開発できれば、他のがんも治せる可能性があるのではないかということで、現在NEDOで「がん超早期診断・治療機器の総合研究開発」のプロジェクトリーダーを務めています。「がん超早期診断・治療」の可能性とハードル――NEDOは、2010年度から「がん超早期診断・治療機器の総合研究開発」プロジェクトに取り組んでいます。がんの早期診断・治療技術の開発が人々にもたらすもの、そして技術開発のプロセスにおける問題点や課題についてご意見をお聞かせください。垣添欧米の優れた医薬品や医療機器の開発については、臨床と工学系あるいは医薬系の、いろいろな研究者と企業の共同研究が数多くなされ、その情報が学会などで自由に流れてきて、日本にいてもこれは良さそうだ、使いたいと思うわけです。日本の場合、医薬品や医療機器の発売後に何らかのトラブルが発生すると企業倫理的に批判を受けます。そのことが開発にブレーキをかけているという側面があると思います。日本の優れた技術を最大限に活かすためには、医薬品メーカーや医療機器メーカーが思い切って一歩を踏み出せるような制度的土壌をつくることも大切だと思います。加藤外国のものは非常に練られていて上手にできています。だから医療サイドとしては良いものを使いたいというのが本音で、それに負けないようなものを、欧米の感覚とは違う日本人の医療として欲しいものを、技術はあるはずなので、いかに早く日本の中で作れるかということかもしれませんね。佐久間非常に高い外科医の技術を活かし、そこにうまく適用できるような技術や機器は、多分日本独自のものが出てくると思いますが、そのためには医と工が常にディスカッションしていないといけない。もう一つは、ディスカッションだけではなくある程度の段階まで動くものを作って、それを現場で評価してもらうということをしないといけないですね。加藤賛成です。安全性などの事前チェックは勿論大切ですが、良い技術が開発されれば積極的に現場で使ってみて、その結果をフィードバックしながら更に実情に合った、あるいは日本人の身体に合ったものにブラッシュアップしていく。このような柔軟な対応があれば、開発側としても有り難いです。いずれにせよ診断も治療も世界的に大きく変化している訳で、それをリードし、かつ日本人に合った技術を開発するためにも、医療現場と開発現場が一体となった協働体制が必要だと思います。垣添現在、がんは早期発見できれば簡単に治せる疾患です。もちろん進行がん、再発がんになってしまったら、これは本当に難しい疾患と言わざるを得ません。世界的にも治癒率は5 0 ~ 6 0 %というところですね。しかし初期のがんであれば、場合によっては入院もしないで治せる時代なのです。仮に手術や放射線治療が必要な場合でも、患者さんへの負担はごく小さい。事実、日本が中心となって開発した重粒子線治療※5などは、肺がんに関して言うと「1回の照射で治せないか」という研究が進んでいます。日本では今後、高齢のがん患者はますます増えていきますから、そういう人たちにとっては、非常に画期的な手法になる可能性がありますので、私は9