成果報告書詳細
管理番号20100000001797
タイトル平成19年度-平成21年度成果報告書 「微生物群のデザイン化による高効率型環境バイオ処理技術開発/有用石油分解菌Cycloclasticusのデザイン化に関する研究開発」
公開日2010/11/10
報告書年度2007 - 2009
委託先名日本大学生物資源科学部
プロジェクト番号P07024
部署名バイオテクノロジー・医療技術開発部
和文要約Cycloclasticus 属細菌は、海洋での実際の多環芳香族炭化水素(PAHs)の分解に関与している重要な微生物であり、世界各地より検出されている。同菌は通常の生海水からは検出することはできないが、海水にPAHsを添加することにより複合微生物群集の中で優占化し、同時にPAHsの分解が起こる。しかし、石油のような炭化水素の混合物、あるいは、PAHsとアルカン類を合わせて添加すると同菌の優占化は抑制され、PAHsの分解は短期間では起こらないことが知られている。現在、同菌のPAHs分解力は海洋における強力な浄化手段と考えられることから、これらを有効利用するためには同菌の培養制御技術(デザイン化)が必要である。 一方で、Cycloclasticus の培養制御の支持体として見出されたS-2 EPSは、Rhodococcus rhodochrous S-2株より抽出された、GlcA-Man-Glc-Galの繰り返し構造を有する酸性多糖であり、分子内にスアリン酸とパルミチン酸を含むポリフィリックな構造を有している。本EPSは溶媒耐性能などの多様な生理活性を生産菌だけでなく他の微生物にも付与し、また、強力な界面活性力を有している。 本研究開発では、 Cycloclasticus がS-2 EPSの投与により複合微生物群集の中で、短期間で優占化し、PAHsの分解が3倍以上促進される理由を明らかにし、その情報に基づいたバイオリメディエーションなど産業技術として展開可能な代替手段(物質、培養条件、人工共生系など)を開発することを目標に行った。同菌の棲息している自然環境は複合微生物系であり、その中で増殖して優占種となるためには環境中に存在する微量元素の獲得が必須となる。そこで、PAHs初期酸化酵素に必須となる鉄を用いて生育に与える影響を環境単離株S4株の純粋培養系で検討した。 炭素源としてビフェニルを用いて培養したところ、クエン酸鉄、FeCl3を添加した条件では、S4株は良好な生育を示したが、FeCl2を添加した条件では、培養初期の生育が著しく抑制され、定常期に達するまでの他の条件より多くの時間を要した。また、トランスポーターの同定をショットガンプロテオームで試み、鉄をキーワードにしてさらに解析したところ、FeCl3を添加した条件ではFeoBのタンパク質が検出された。このオペロンをさらに詳細に解析したところ、上流に位置するORF982がFeoAであることが示唆され、S4株は同システムによりイオン化鉄を取り込んでいる可能性が示唆された。 また、S-2 EPSを介した同菌の複合微生物群集での優占化に関して、S-2 EPSの構成糖のGlcAが微量元素の獲得に貢献していると予想し、S-2 EPSを還元することで同菌の優占化が抑制されるか否かを検討した。培養条件は微生物源として生の海水を用い、炭素源としてフェナントレンとヘキサデカンを加えた条件で行なった。その結果、S-2 EPSを添加しなかった条件では、同菌の優占化が抑制されたが、S-2 EPSの添加によりその抑制は解除された。この傾向は基本的にこれまでの結果を支持している。一方でS-2 EPSの還元物を添加した場合には、無添加条件と同様にCycloclasticusの優占化は解除された。ここから、S-2 EPSのグルクロン酸に含まれるカルボキシル基が同菌の複合微生物群集内での優占化に重要であることが示され、代替手段の手掛かりとしての重要な情報を得ることができた。
英文要約Title: The effects of iron on the degradation of poly-aromatic hydrocarbons (PAHs) by Cycloclasticus in the oil-contaminated marine environments. (FY2007-FY2009)
Cycloclasticus is a cosmopolitan marine bacterium that uses PAHs containing oils as its exclusive source of carbon and energy. Although barely detectable in unpolluted environments, Cycloclasticus becomes a dominant microbe in seawater containing PAHs. Therefore Cycloclasticus is useful for degradation of PAHs in oil contaminated marine environments. The aim of this project is development of regulatory methods for behavior and PAHs degradation activities of Cycloclasticus in marine bacterial consortia to apply for bioremediation. We recently found that Cycloclasticus has a transporting system for scavenging of minerals. It is generally understood that the scavenging for minerals such as iron in marine environment is essential to became predominant in bacterial consortia. In addition, many enzymes to catalyze PAHs required iron. In this study, we analyzed the effects of iron on the PAHs degradation by Cycloclasticus. We examined effects of iron on the growth and degradation of Cycloclasticus in the presence of PAHs. When Fe3+ was added to seawater based medium as iron source Cycloclasticus grew well with PAHs degradation. Whereas Cycloclasticus showed poor growth when Fe2+ was added. To detect proteins related for iron uptake, we performed proteomic analysis. The results showed that Feo A and B which are transporting system for iron uptake were detected in the presence of Fe3+ whereas they were not detected in the presence of Fe2+. These results suggested that Feo A and B might be related to the growth and degradation of PAHs of Cycloclasticus.
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