成果報告書詳細
管理番号20110000000321
タイトル平成20年度成果報告書 新エネルギー技術研究開発/新エネルギーベンチャー技術革新事業(燃料電池・蓄電池)/全固体リン酸型電解質膜の技術開発
公開日2011/5/17
報告書年度2008 - 2008
委託先名株式会社ナノメンブレン
プロジェクト番号P10020
部署名研究開発推進部
和文要約 地球環境問題に対する世界的な危機意識の高まりがあり、CO2削減を中心とする低炭素社会への動きが明白となってきた。これを実現するためには、太陽光発電、風力発電などの新エネルギー源を活用するとともに、化石燃料の飛躍的な効率増大が可能となる燃料電池に対する期待は大きく、その早期の実用化および様々な分野への普及が強く望まれている。
 本技術開発においては、(独)理化学研究所での技術開発から生まれた独創的な巨大ナノ膜技術、特に固体酸材料のナノ薄膜化技術を応用して、中温域で実用レベルのプロトン伝導性を示す革新的な固体電解質膜を開発することを目指した。作動温度200~400℃の中温域で作動する全固体型燃料電池は、現在開発の主なターゲットとなっている低温型のPEFCや高温型のSOFCとは異なる有利さがあると知られている。本開発では、世界に先駆けて中温域を作動温度とする全固体燃料電池の試作を行い、実用化への方向性を打ち出すことを目標としている。
 株式会社ナノメンブレンが平成20年6月~21年3月の期間に実施した本プロジェクトの主な成果は次のとおりである。
(1)スピンキャスト法をベースとするナノ膜製膜技術により、緻密、無欠陥のリン酸ジルコニウムのナノ薄膜を作成した。インピーダンス測定の結果、原料溶液中のP/Zr比3~4程度で高いプロトン伝導性を示すことが明らかとなった。第3成分として5%程度(Zrに対し)のYイオンを加えると、伝導性はさらに上昇した。これにより、作動温度300~400℃において、開発目標である比面積抵抗(0.15Ωcm2以下)を超える膜抵抗0.08Ωcm2を達成することができた。
(2)三成分系膜を用いて乾燥条件下、300℃で240時間以上の連続運転を行うと、時間とともにプロトン伝導性は向上し、100時間でほぼASR値0.1の一定値となる。また、室温と作動温度(300℃)の間で温度を変化させるサイクル作動においても、2回目以降の変化は見られなかった。この結果より、リン酸ジルコニウム膜が作動条件下で十分に安定であり長時間劣化しないことが示された。
(3)リン酸ジルコニウム電解質膜は、作成時に複雑な化学反応を伴うので、成膜条件を厳密に指定する必要がある。そこで、成膜プロセスを標準化、自動化するためのシステムを試作し、再現性のよい膜作成が可能となった。原料溶液を外気に触れることなく自動的に注入すること、注入、スピンコート、熱処理のプロセスを自動化すること、が主な点である。
 以上の成果から、本研究開発の目的とする中温(200~400℃)作動、全固体(無加湿)リン酸型電解質膜の実用化が十分可能であることが明らかになった。
中温作動の全固体型燃料電池を実現することにより、将来、コンパクトで低価格、高い効率の燃料電池を車載用、家庭用として利用できるようになり、環境・エネルギー分野を中心とする社会的、経済的な波及効果は極めて大きいと考えられる。それを通して、次世代の社会を支える新産業クラスターが生まれ、低炭素社会の実現につながると期待できる。
英文要約 The world-wide awareness for the global environmental crisis is becoming acute, creating urgent requests for the development of newer technologies that would relieve global warming. Fuel cells are one of those technologies, and its early practical application and wide-spread uses are strongly desired.
The purpose of this project is to develop novel solid electrolyte membranes with practically-useful proton conductivity at the temperature range of 200~400℃, by taking advantage of our original nanomembrane technology of solid-acid materials. This achievement would lead to practical fabrication of world-leading, all-solid fuel cells with intermediate operating temperature.
Through the present project, NanoMembrane Co. Ltd. , in the period of June, 2008 to March 2009, successfully completed fabrication of all-solid phosphate electrolyte membrane with area specific resistance(ASR) of 0.08 Ωcm2 at 300-400℃. This superior proton conductivity was stably maintained for 240 hours at 300℃. These results satisfied the technical target of practically useful ASR of less than 0.15Ωcm2, and demonstrated that practical use of all-solid (without humidification) electrolyte membrane at the intermediate temperature is feasible.
The intermediate-temperature, all-solid fuel cell would be advantageous for vehicle and home applications due to its compactness, low-cost and high-efficiency, and social and economic impacts could be considerable in terms of environments and energy. A new industrial cluster may well be created on the basis of the current technology towards the goal of low-carbon society.
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