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新たな「ヒト多能性幹細胞(Muse細胞)」を発見
―ES細胞、iPS細胞に次ぐ第三の多能性幹細胞―

2010年4月20日
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
理事長 村田 成二

東北大学大学院医学系研究科 出澤真理教授らは、ES細胞、iPS細胞に次ぐ第三の多能性幹細胞(注1)を、皮膚や骨髄などの成人ヒト間葉系組織から新たに発見し、その効率的な分離・抽出方法の確立に成功しました。この細胞は、その性状から、共同研究者である京都大学大学院理学研究科の藤吉好則教授によって、Muse細胞(Multilineage-differentiating Stress Enduring Cell)と名付けられました。

 Muse細胞はそもそも生体中に存在するものであるため、多能性を持たせるための遺伝子導入などの特殊な操作は必要とせず、ガン化の危険性が極めて低いことが示唆されています。なお、生体から分類・抽出した後は、特定の培養によって増やすことが可能です。また、マウスに対して行われた実験では、静脈注射などによって生体に投与すると、損傷を受けた部位に自然に生着し、その組織特有の細胞に分化することが確認されています。

 NEDOは、産業的な視点に立って、ライフ・イノベーションの実現に貢献する画期的な創薬や先進的医療の基盤となる技術開発の支援を行っています。今回の出澤教授らの成果は、参画プロジェクト(「化合物等を活用した生物システム制御基盤技術開発」など)において、生体内での細胞の挙動を分析して安全性等を評価することに貢献し、プロジェクト成果の実用化を加速する役割を担っています。

 今後このMuse細胞を有効に活用することで、多能性幹細胞に関する研究が直面する重要課題(例えば、腫瘍化や遺伝子導入の影響など)の解決につながる可能性があります。さらには、自らの細胞を用いた新たな治療(自己細胞移植など)の実現可能性が高まることも期待されます。

 なお、本件は、4月19日付の米国科学アカデミー紀要(注2)「Proceedings of the National Academy of Sciences of the USA」に掲載される予定です。


(注1) 体のあらゆる組織に分化する能力を持つ細胞のこと。
(注2) 米国科学アカデミーが発行している学術雑誌。http://www.pnas.org/

1.研究者の略歴

出澤真理 教授
 (最終学歴)千葉大学大学院医学研究科・医学博士
  1995年 千葉大学医学部・助手
  2000年 横浜市立大学医学部・講師
  2003年 京都大学大学院医学研究科・助教授
  2008年 東北大学大学院医学系研究科・教授(現職)

藤吉好則 教授(共同研究者)
 (最終学歴)京都大学大学院理学研究科・理学博士
  1985年 京都大学化学研究所・助手
  1987年 蛋白工学研究所主任研究員
  1988年    同   主席研究員
  1994年 松下電器・国際研究所リサーチディレクター
  1996年 京都大学大学院理学研究科・教授(現職)

2.お問い合わせ先

(本プレスリリースの内容についての問い合わせ先)
NEDO バイオテクノロジー・医療技術開発部 古川、森田
 TEL: 044-520-5231

(その他NEDO事業についての一般的な問合せ先)
NEDO 広報室 田窪、廣瀬
 TEL: 044-520-5151