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光触媒によるウイルス水際対策事業を開始
新千歳空港における大規模実証実験

2009年6月17日
NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)
理事長 村田 成二

NEDOは、光触媒によって、インフルエンザ等の感染症の原因となるウイルスを不活性化する技術の大規模実証実験を新千歳空港で行います。空気感染による感染拡大のリスクを低減し、安心・安全社会の実現に貢献します。

1. 背景

  近年毎年のように感染症の発生が起こっており、新型インフルエンザにおけるパンデミック(感染症の大流行)への不安が大きくなっています。2009年6月、パンデミックアラート期はフェーズ5(※1)からパンデミックフェーズであるフェーズ6(※2)に引き上げられました。感染経路には、飛沫感染、接触感染及び空気感染があります。これらの感染経路の内、飛沫感染及び接触感染の防止には、マスク、うがい、手洗い等が重要であり、空気感染の防止には、人の集まる空間における空気浄化が重要です。
  空気浄化については、光触媒技術が期待されています。光触媒の細菌除去への有効性に関しては実空間で確認され始めていますが、光触媒のウイルス除去への有効性に関しては、実験室レベルでウイルスの不活性化を確認している程度で、実空間での確認はまだ不十分です。そこで、本事業では、次に示す2つの実験により、実空間における光触媒を用いたウイルス対策の有効性について検証します。

  • 1  ヒト-ヒト感染拡大がある
  • 2  急速で広範囲にヒト-ヒト感染拡大がある

2. 概要

  1. 光触媒によるウイルスの不活性化に関するモデル実験
      光触媒による実験室レベルでのウイルス不活性化効果について、実生活空間での存在状態を想定したウイルス(※3)に対する不活性化効果の評価を行うと同時に、一般細菌についても同様の評価を行います。これは、ウイルスと一般細菌に対する光触媒効果を明らかにすることを目的としています。
  2. 光触媒の実空間への導入に関する実証実験
      新千歳空港の国内線出発ターミナルにおいて、エアーサンプラーによる空中浮遊菌のモニタリングやパーティクルカウンターによるエアロゾル(※3)の計測等を行って空港に存在している一般細菌の光触媒による低減効果を評価し、1.の実験結果と組み合わせることで、光触媒を用いたウイルス対策の有効性を検証します。

    • 3  実生活空間においてウイルス・細菌はエアロゾル中に浮遊している

    この事業は、新千歳空港のターミナルビルを管理する北海道空港株式会社の全面的な協力の下、東京大学に委託して実施します。また、経済産業省、国土交通省と連携し、各空港への導入の可能性も視野に入れて実験を行います。事業費は総額約5億円(2009年度経済産業省計上補正予算)です。

3. 光触媒の有効性について

  現在、医療現場での空気浄化には高性能集塵フィルターが多く使われています。しかし、高価なフィルター交換コスト、フィルター上に残った菌・ウイルスの処理時の危険性等の問題を抱えています。これに対し、光触媒技術は紫外線が照射されていればフィルター上の細菌、ウイルスを分解・除去できるメリットがあり、高性能集塵フィルターを使用するよりも安全性が高く、またフィルター交換が少ないことから低コスト化が可能となります。

4. お問い合わせ先

(本プレス発表の内容についての問い合わせ先)
NEDO  環境技術開発部  間瀬、唐沢
TEL  044-520-5251

(その他NEDO事業についての一般的な問合せ先)
NEDO  広報室  坂本、萬木(ゆるぎ)
TEL  044-520-5151