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水和物スラリ蓄熱空調システム タイで実証事業開始

東南アジアにおける省エネ達成・CO2削減を目指す
2010年1月25日
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
理事長 村田 成二
 NEDOは、JFEエンジニアリング(株)と共に開発した水和物スラリ(※1)蓄熱空調システムの実証事業を、タイ電力公社(EGAT)の本社ビルにて実施することを決定しました。事業期間は今年度から3年間。一般的な空調システムと比較して、20%程度の省エネが達成されると共に昼夜の電力使用平準化にも寄与します。この事業を足がかりに、NEDOは東南アジアにおける新しい空調システムの普及を目指します。

1.背景

 タイでは民生用の電力需要が全体の約3割を占めますが、そのうち46%が空調用の電力需要です。また電力需要は昼間にピークが集中しており、今後の経済成長に伴う旺盛な産業電力需要を考えますと電力需要の夜間シフトが重要です。このため効率的で電力需要を夜間にシフトできる水和物スラリ蓄熱技術は、今後、タイを初めとする東南アジア諸国への普及が期待できます。

2.プロジェクト概要

(1)導入する技術

 今回タイ電力公社(EGAT)本社の最新鋭省エネビルに導入することになった水和物スラリを用いた蓄熱空調システムは、蓄熱材として水和物スラリを使用するものです。
 これは化学品(触媒)として普及しているTBAB(※2)という物質を溶解した水溶液の冷却によって生成される微細な水和物と水溶液の混合流体であり、耐久性もあるためリユースも可能です。
 水和物スラリは、従来の空調システムに使用していた水の2倍以上の冷熱量を保有できるため効率的な蓄熱が可能となります。すなわち、同じ容量で冷水の2倍以上の蓄熱量(既設水蓄熱槽を水和物スラリ蓄熱槽に変更することで水よりも蓄熱量増加、熱源動力を削減)、安価な夜間電力の効率的な使用が可能となります(図 参照)。また、搬送動力の割合が大きい場合は、冷水の半分以下の流量で同じ冷房効果が得られるため搬送エネルギーの削減も可能なシステムを構成することも可能です。
 この空調システムを事務所ビルや工場等に適用することにより、冷房用エネルギー消費量の削減を実現。冷房を使用する時期には、夜に夜間電力を使用して冷凍機と水和物スラリ製造装置を運転し、蓄熱槽に水和物スラリを貯蔵、昼間にはこの蓄熱槽内の水和物スラリを熱交換した冷水を二次側に流すことにより、従来の二次側設備を変更することなく冷房に使用することができます。

図.水和物スラリ蓄熱空調システム
図.水和物スラリ蓄熱空調システム

(2)事業期間、予算規模

 事業期間:2010年度~2012年度(3年間)
 予算規模:約2.7億円(事業期間を通して)

3.用語解説

  • (1)水和物スラリ:水和物の微細粒子と水溶液の混合流体。
  • (2)TBAB:テトラブチルアンモニウム。「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(化審法)」に既登録の化学品で広く普及。安全衛生法、毒物・劇物取締法、消防法(水溶液)に該当しません。

<日本国内導入事例>
 川崎地下街アゼリア
川崎地下街アゼリア

4.お問い合わせ先

(本プレスリリースについての問い合わせ先 )
NEDO エネルギー・環境技術本部
省エネルギー技術開発部
 林 TEL: 044-520-5282
国際事業統括室
 山埜 TEL: 044-520-5190

(取材申込み、その他NEDOの事業についての一般的な問い合わせ先)
NEDO 広報室
萬木(ゆるぎ)、田窪 TEL: 044-520-5151