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太陽電池セルで集光時世界最高効率43.5%を達成
―化合物3接合太陽電池で世界最高変換効率―

2012年5月31日
NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)
理事長 古川一夫

 NEDOの「革新的太陽光発電技術研究開発」プロジェクトの一環として、シャープ株式会社が、世界最高の集光時セル変換効率※143.5%※2,3を、化合物3接合型太陽電池※4で達成しました。
 本プロジェクトは、新材料・新規構造等を利用して太陽光発電の「モジュール変換効率40%超」かつ「発電コスト7円/kWh※5」を達成するための探索研究を行い、2030年以降の実用化を目指すものです。
 本成果によって、本プロジェクトの目標達成時期が前倒しされ、超高効率太陽電池の早期実用化が期待されます。
  • ※1 変換効率:太陽電池の重要な性能指標の一つで、光のエネルギーを電気エネルギーに変換する割合
  • ※2 2012年5月30日現在、研究レベルにおける集光太陽電池セルにおいて。[シャープ株式会社調べ]
  • ※3 2012年4月、ドイツのフラウンホーファー太陽電池研究所(世界の太陽電池の公的測定機関の一つ)により集光倍率306倍の条件において確認された数値(セル面積:約0.167cm2)。Solar Junction社(米)と同率の世界最高集光時セル変換効率。
  • ※4 化合物3接合太陽電池:インジウムやガリウムなど、2種類以上の元素からなる化合物を材料とした光吸収層を3層重ね、各層で異なる波長の光を吸収させることで、高い変換効率を実現する太陽電池
  • ※5 太陽光発電ロードマップ(PV2030+)で汎用電力料金並みと算出した金額
シャープ(株) 世界最高変換効率43.5%を達成した化合物3接合型太陽電池セル
シャープ(株) 世界最高変換効率43.5%を達成した化合物3接合型太陽電池セル

1.背景

 地球温暖化対策やエネルギーセキュリティ向上のため、世界的に太陽光発電への期待は大きくなっています。太陽光発電を更に普及させていくためには、変換効率等の性能を飛躍的に向上させるとともに、太陽電池の低コスト化の開発を進めることが重要です。
 このような背景の下、NEDOは日本の技術的優位性を超長期に亘って維持し、産業競争力強化に資する技術を開発するため、2030年以降の長期的視野に立ち、国内の知見・技術を結集して、新材料・新規構造等を利用した革新的な太陽光発電技術を開発しています。

2.今回の成果

 現在、導入されている太陽電池の約80%を占めるシリコン結晶の太陽電池は、市販製品で最高20%程度の変換効率を有しています。太陽光発電を更に普及させていくためには、狭い面積でも十分な発電量が得られるように、変換効率を向上させていく事が重要なポイントとなります。

  • 概要説明図
 NEDOは、将来の高効率太陽電池の一つである化合物太陽電池の開発をシャープ株式会社に委託して進め、2010年9月に化合物3接合型太陽電池で集光時セル変換効率42.1%まで高めることに成功しました。今回新たに、受光面の電極間隔を最適化し電気抵抗を最小限に抑えることで、太陽電池の最大出力が向上し、変換効率アップを実現しました。

3.今後の予定

 プロジェクト目標である「モジュール変換効率40%超」達成のため、今後、更なる効率向上を進めるとともに、実用化へ向けたコスト低減などの技術開発を進めていきます。

4.お問い合わせ先

(本プレスリリースの内容についての問い合わせ先)
NEDO 新エネルギー部 担当:小間  TEL 044-520-5277
(その他NEDO事業についての一般的な問い合わせ先)
NEDO 広報室 担当:遠藤  TEL:044-520-5151 E-mail:nedo_press@ml.nedo.go.jp

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