本文へジャンプ

太陽電池セルで非集光時世界最高効率37.7%を達成
―化合物3接合太陽電池で世界最高変換効率―

2012年12月5日
NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)
理事長 古川一夫

 NEDOの「革新的太陽光発電技術研究開発」プロジェクトの一環として、シャープ株式会社が、世界最高の非集光時セル変換効率※137.7%※2、3を、化合物3接合型太陽電池※4で達成しました。
 本プロジェクトは、新材料・新規構造等を利用して太陽光発電の「モジュール変換効率40%超」かつ「発電コスト7円/kWh※5」を達成するための探索研究を行い、2030年以降の実用化を目指すものです。
 本成果によって、本プロジェクトの目標達成時期が前倒しされ、超高効率太陽電池の早期実用化が期待されます。

※1 変換効率:太陽電池の重要な性能指標の一つで、光エネルギーを電気エネルギーに変換する割合

※2 2012年12月5日現在、研究レベルにおける非集光太陽電池セルにおいて[シャープ株式会社調べ]

※3 2012年9月、独立行政法人産業技術総合研究所(世界の太陽電池の公的測定機関の一つ)により確認された数値(セル面積:約1cm2

※4 化合物3接合太陽電池:インジウムやガリウムなど、2種類以上の元素からなる化合物を材料とした光吸収層を3層重ね、各層で異なる波長の光を吸収させることで、高い変換効率を実現する太陽電池

※5 太陽光発電ロードマップ(PV2030+)で汎用電力料金並みと算出した金額

シャープ(株) 世界最高変換効率37.7%を達成した化合物3接合型太陽電池セル
シャープ(株) 世界最高変換効率37.7%を達成した化合物3接合型太陽電池セル

1.背景

地球温暖化対策やエネルギーセキュリティ向上のため、世界的に太陽光発電への期待は大きくなっています。太陽光発電を更に普及させていくためには、変換効率等の性能を飛躍的に向上させることが重要です。
 このような背景の下、NEDOは日本の技術的優位性を超長期に亘って維持し、産業競争力強化に資する技術を開発するため、2030年以降の長期的視野に立ち、国内の知見・技術を結集して、新材料・新規構造等を利用した革新的な太陽光発電技術を開発しています。

2.今回の成果

現在、導入されている太陽電池の約80%を占めるシリコン結晶の太陽電池は、市販製品で最高20%程度の変換効率を有しています。太陽光発電を更に普及させていくためには、狭い面積でも十分な発電量が得られるように、変換効率を向上させていく事が重要なポイントとなります。

太陽光エネルギー分布

NEDOは、将来の高効率太陽電池の一つである化合物太陽電池の開発をシャープ株式会社に委託して進め、2011年11月に化合物3接合型太陽電池で非集光時セル変換効率36.9%を達成しています。今回新たに、受光面の総面積に対する有効受光面積の比率を増やすことで、太陽電池の最大出力を向上させ、変換効率を37.7%まで高めることに成功しました。

3.今後の予定

プロジェクトの長期目標である「モジュール変換効率40%超」達成のため、今後、更なる効率向上を図るとともに、実用化へ向けたコスト低減などの技術開発を進めていきます。

4.お問い合わせ先

(本プレスリリースの内容についての問い合わせ先)
NEDO 新エネルギー部 担当:小間  TEL 044-520-5277

(その他NEDO事業についての一般的な問い合わせ先)
NEDO 広報室 担当:遠藤、木内  TEL:044-520-5151 E-mail:nedo_press@ml.nedo.go.jp

関連ページ