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最新の環境対応型高効率アーク炉をタイで実証

―30%の省エネとCO2の大幅削減が可能に―
2013年2月7日
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
理事長 古川一夫

NEDOの支援によりスチールプランテック株式会社は、製鋼工程における最新の環境対応型高効率アーク炉をタイ・チョンブリ市内に設置、実証を開始しました。
 今回完成した設備は、従来の電気炉と比較して約30%の省エネ効果とCO2削減が見込めるとともに、付属するダイオキシン処理設備により日本の大気排出基準(*1)を満たし、環境問題への対応も可能となります。

  • 環境対応型高効率アーク炉竣工式典(写真、左)と完成したアーク炉(写真、右)
    環境対応型高効率アーク炉竣工式典(写真、左)と完成したアーク炉(写真、右)

設備完成に伴い、2月6日に現地で竣工式を開催。タイ工業省ピヤワット・ニヨムラーク大臣補佐、同省工業振興局ソーポン・ポンプラシット局長のほか、タイ鉄鋼協会関係者らが参加。日本からはNEDO植田理事、スチールプランテック藤原代表取締役社長が参加しました。

1.概要

タイ鉄鋼業の鋼材需要は近年のASEANの活況を反映して年々増加しており、しかもタイでは最大のエネルギー消費産業です。高炉が存在しないタイにおいて、アーク炉製鋼工程は製鉄所で使用するエネルギーの大半を消費しております。本技術は、従来のアーク炉に比べ大幅な省エネが期待でき、またダイオキシン生成を抑制する環境対応に適したものである。2009年度の本事業の実施可能性調査では、約30%のエネルギー削減が見込まれることがわかり、タイの省エネルギー及び環境改善へ大きな奇与が期待されます(「環境対応型高効率アーク炉モデル事業(タイ)実施可能性調査」)。
 本モデル事業で導入するアーク炉と従来型のアーク炉を比較すると図のようになり、従来炉では、原料のスクラップはふたを開けて直接炉に投入するために熱が逃げ易く、また、アーク炉内での発生ガスは炉外へそのまま排出され、別途設けたエネルギー回収装置へ導入回収するか、エネルギー回収をしないまま集塵機(*2)を通過してガスを大気へ排出していました。環境対応型高効率アーク炉では、構造的に炉本体と予熱槽が一体となった密閉構造であるため熱が逃げにくく、原料を溶解する際に発生する高温ガスを、アーク炉本体と一体化された原料予熱槽を通過させて排出することにより、原料である鉄スクラップと排ガスとの熱交換でエネルギーを回収します。その後、下流の処理装置でガスに含まれる有害物質を排ガス内の可燃分を利用し燃焼分解する環境対応型の省エネルギー技術です。なお、この排ガス処理技術は1999年度にNEDO事業「製鋼工程におけるダイオキシン類削減技術」として開発した技術です。

  • 図1:従来型アーク炉(左)と環境対応型アーク炉(右)
    図1:従来型アーク炉(左)と環境対応型アーク炉(右)
  • 図2:排ガス処理装置
    図2:排ガス処理装置

事業名:国際エネルギー消費効率化等技術・システム実証事業(国際エネルギー使用合理化等対策事業)/
国際エネルギー消費効率化等モデル事業/環境対応型高効率アーク炉モデル事業(タイ)

事業期間:2010年度~2012年度

予算規模:約28.5億円(うちNEDO負担 約20.4億円)

想定省エネ量:約15,200toe/y、想定温室効果ガス排出削減効果:約27,600t/y

委託先:スチールプランテック株式会社

実施サイト:UMCメタル社


2.今後の予定

完成した設備の効果的な運用に向けて、現地へアドバイザーを派遣する等のマネジメントを実施、より効果的な設備の運用を行ってまいります。また、実証事業終了後は、タイ鉄鋼協会等と協力してPR活動を行なう予定です。これにより、タイへの本技術の普及を図り、更に周辺ASEAN諸国への展開を図ります。

3.問い合わせ先

(本プレスリリースの内容についての問い合わせ先)
 NEDO 省エネルギー部 担当:吉崎、中井  TEL:044-520-5284

(その他NEDO事業についての一般的な問い合わせ先)
 NEDO 広報室 担当:遠藤  TEL:044-520-5151  E-mail:nedo_press@ml.nedo.go.jp

【用語解説】

(*1):ダイオキシン類にかかる環境基準(日本):新設電気炉の場合、排ガス中0.5ng-TEQ/m3 ("ダイオキシン類対策特別措置法")

(*2)集塵機:アーク炉から発生するガスの粉塵を除去したうえで大気へガスを排出する設備