アジア初、インドネシアでスマートコミュニティ実証事業
―エネルギー鉱物資源省と基本協定―
2013年7月16日
NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)
理事長 古川一夫
NEDOとインドネシア国エネルギー鉱物資源省(MEMR)は7月15日、同国スルヤチプタ工業団地でスマートコミュニティ実証事業を実施することで合意、基本協定書に調印しました。電力エネルギーの安定供給と効率的な利用が喫緊の課題となっている同国において、日本の電力インフラ技術を活用し、省エネルギー化と高品質電力の供給を可能とする「スマート&エコ工業団地モデル」を構築します。
アジア地域におけるNEDOのスマートコミュニティ実証事業実施はこれが初めてであり、日本のインフラ輸出モデルとしてスマートコミュニティのさらなる展開につなげていきます。
1. 概要
高い経済成長が続くインドネシアではエネルギー需要の伸びも著しく、さらなる発展が期待される同国が経済と環境を両立した「持続可能な社会」を構築するためには「スマートコミュニティ技術」の導入による高度なエネルギー利用方法の確立が喫緊の課題です。
中でも同国のエネルギー消費量の約1/3を占める産業分野が多く集積する工業団地は、エネルギー消費の伸びが著しく、NEDOとMEMRは2010年から日尼両国政府が共同して工業団地地域におけるスマートコミュニティ技術の導入可能性や、持続可能なビジネスモデルを検討してきました。その結果、「スマート&エコ工業団地モデル」の必要性を認識し、実現性を実証する上で最適であると判断したスルヤチプタ工業団地において、日尼政府共同でスマートコミュニティ実証事業を開始することで合意しました。
本実証事業では、「スマート&エコ工業団地モデル」をキーワードに、主に以下の3技術について、日本側はNEDO、住友商事株式会社、富士電機株式会社、三菱電機株式会社、NTTコミュニケーションズ株式会社の4社が、インドネシア国側はPLN(国有電力会社)、スルヤチプタ工業団地、そして当該工業団地内の複数の入居民間企業が一体となって協力して2016年までの予定で実証事業を実施。同国におけるエネルギー最適利用による新しい高度社会システム構築に向けて大いに貢献できるものとなることを期待しております。
- 〔1〕 電力品質の更なる安定化技術
配電自動化システム、無停電電源装置、電圧安定化装置等を導入し、高品質な電力安定化システムを構築します。 - 〔2〕 エネルギーマネジメントシステム導入による省エネと需給調整
デマンドサイドマネジメントシステム(DSM)を導入して、電力需要を抑制します。また、DSMからの抑制要求を支援し、工場エネルギー管理システム(FEMSやEMS)等を導入して省エネの推進を図ります。 - 〔3〕 共通基盤通信インフラシステム
工業団地内に高品質な通信インフラを敷設し、〔1〕と〔2〕を実現するための共通基盤であるICTプラットフォームを構築します。
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実証のイメージ
2. 今後の予定と期待される成果
本実証事業は、2012~2016年度の約4年間、予算約35億円で実施の予定です。
技術・ビジネス性双方の観点から本ビジネスモデルの妥当性検証を行い、その有意性を確認した上で継続的な事業展開の実現が期待されております。システム構築や保守運用業務、サービス事業を提供していく予定であり、インドネシア国内において両国共同で特定目的会社を設立することも検討しております。また、他の工業団地や他のASEAN諸国への展開も検討していく予定です。
3. 問い合わせ先
(本プレスリリースの内容についての問い合わせ先)
NEDO スマートコミュニティ部 担当:大塚、岡本、古川 TEL 044-520-5274
(その他NEDO事業についての一般的な問い合わせ先)
NEDO 広報室 担当:遠藤、木内 TEL:044-520-5151 E-mail:nedo_press@ml.nedo.go.jp