ウズベキスタンで高効率ガスタービンコジェネを実証
―燃料削減効果で10%省エネとCO2の大幅削減を目指す―
2013年8月26日
NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)
理事長 古川一夫
NEDOの省エネモデル事業として、ウズベキスタン共和国の首都タシケントにある、ウズベクエネルゴ社タシケント熱電併給所内に高効率ガスタービンコジェネレーションモデル設備が完成、実証運転を開始しました。
この設備は、高効率のガスタービン(電気出力2万7000kW)と排熱回収ボイラーで構成。同国内のほぼ全発電量を占めるウズベクエネルゴ社のエネルギーインフラを通じて高効率に電力、熱が供給されることで、稼働する旧式の天然ガス火力発電所等での焚き減らしが可能となり、10%程度の省エネと、年間4万1千トンのCO2削減が見込まれています。
本事業は、NEDOの委託を受けた東北電力が担当。NEDOは、本事業を足がかりに、ガスタービンコジェネレーション技術の同国内及び周辺国への普及を目指します。
設備の完成に伴い、2013年8月23日、同熱電併給所において竣工式が開催されました。
1.モデル事業概要
ウズベキスタン共和国では、発電設備の多くが旧ソ連時代に建設されたため、老朽化により性能や運転信頼度が低下しており、設備の近代化が喫緊の課題となっています。
NEDOの高効率ガスタービンコジェネレーションモデル事業(省エネモデル事業)では、地域に電気と暖房・給湯向けの温水の両方を供給しているタシケント熱電併給所(電気出力2万2500kW)に、高効率のガスタービン(電気出力2万7000kW)と排熱回収ボイラーから成るガスタービンコジェネレーション設備を導入。ガスタービン排熱を既存の設備に有効利用し発電電力量を増やすことで、効率の低い既設天然ガス火力発電所の焚き減らし(熱電併給所での発電電力量増産分相当の運転抑制)を図り、同国全体での燃料消費量を削減するものです。
新設したガスタービンコジェネレーション設備は、天然ガスを燃料に発電を行い、その排熱を排熱回収ボイラ-(HRSG)で回収して蒸気供給を行うものであり、総合熱効率が高く、熱生産量に対して発電量が比較的多いという特徴を有します。回収した蒸気は、既設の蒸気タービン、蒸気・温水供給設備で活用されるため、比較的少ない設備投資により、ガスタービン排熱を最大限に有効活用することができます。
NEDOは今後、実証事業の成果をもとに、ウズベキスタン共和国政府などと協力してガスタービンコジェネレーション技術の普及活動を実施、同国だけでなく周辺諸国への同技術の普及を後押しします。
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図:稼働した高効率ガスタービンコジェネ(GTCS)によるエネルギーインフラの変化
- 事業名:
- 国際エネルギー使用合理化等対策事業/国際エネルギー消費効率化等モデル事業 /熱電併給所高効率ガスタービンコジェネレーションモデル事業(ウズベキスタン)
- 事業期間:
- 2009年度~2013年度
- 予算規模:
- 約55億円(うちNEDO負担 約38億円)
- 想定省エネ量:
- 約20,000t/y(原油換算)、想定温室効果ガス排出削減効果:約41,000t/y(炭酸ガス換算)
- 委託先:
- 東北電力株式会社
- 実施サイト:
- ウズベクエネルゴ タシケント熱電併給所
- ウズベキスタンにおける天然ガス火力発電容量は、8,000MW程度。同国の発電は、火力主体であり(全体の約86%)、ウズベクエネルゴ社は、全発電量の97.4%を占めている。((社)海外電力調査会 平成18年度中央アジア電力事情基礎調査報告書より)
2.竣工式出席者等
2013年8月23日(金)、タシケント熱電併給所において竣工式を開催。日本側はNEDO古川理事長、在ウズベキスタン日本大使、東北電力役員ら、ウズベキスタン側は、イブラギモフ副首相、ホジャエフ経済省副大臣が参加しました。
3.お問い合わせ先
(本プレスリリースの内容についての問い合わせ先)
NEDO 省エネルギー部 担当:中井、吉崎 TEL:044-520-5284
(その他NEDO事業についての一般的な問い合わせ先)
NEDO 広報部 担当:遠藤 TEL:044-520-5151 E-mail:nedo_press@ml.nedo.go.jp