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未導入分野における太陽光発電システムの実証プロジェクトを開始
―新たな導入場所、用途の開拓で市場拡大へ―

2013年11月18日
NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)
理事長 古川一夫

NEDOは、太陽光発電の更なる導入を実現するために、導入先となる設置場所及び用途を拡大していくことを目的とした「太陽光発電多用途化実証プロジェクト」を開始。この度、実証事業を行う共同研究先として14法人(12件)を採択しました。

このプロジェクトでは、導入ポテンシャルが大きいことが判明しているにもかかわらず導入が進んでいない分野(建物の壁面、農地やビニールハウス、傾斜地、ため池や湖畔などの水上など)に対して、導入を阻害する要因を解消するため、新たな太陽電池モジュールや施工技術、低コスト化・発電量向上化技術の開発、実証を行います。

イメージ図

1. 背景

NEDOは、これまで太陽光発電の普及拡大に向けて、発電コスト低減を目的に高効率な太陽電池セルの開発や、太陽電池モジュールの低コスト化の事業を行っております。現在、住宅の屋根面やメガソーラーといった領域では普及段階に入っておりますが、今後、更なる導入を実現する上では、太陽電池セル・モジュールの高性能化・低コスト化だけではなく、導入先となる新たな設置場所及び用途を拡大していくことが重要となります。

2. 実証事業の概要

本事業では、導入ポテンシャルが大きいものの導入が進んでいない分野(建物の壁面、農地、ビニールハウス等の農業関係建物、傾斜地、ため池や湖畔等の水上、等)について、導入を阻害している要因を解消するため、新たな太陽電池モジュール、施工技術の開発、低コスト化・発電量向上化技術の開発と実証を行います。

  • 研究期間:2013年度~2015年度
  • 総事業費:約22.5億円(NEDOの負担率は2/3)

3. 採択した共同研究先

  • 〔1〕  「低反射環境配慮型壁面太陽光発電システムの開発」 (株式会社カネカ)
    【内容】導入分野はビルの壁面。問題となる周辺住宅への太陽光反射を抑制した低反射防眩型太陽電池モジュールと設置技術を開発し、実証試験を行う。
  • 〔2〕  「低コスト太陽光追尾システムの農地での有効性実証」 (ダイキン工業株式会社)
    【内容】導入分野は農地やビニールハウス等。空気圧駆動式太陽光追尾装置による発電量向上化を低コストで実現する。また、空気圧アクチュエータのダンパー機構により、強風を自動で受け流す機能を付加する。これらの開発、実証試験を行う。
  • 〔3〕  「強度の弱い畜舎向け軽量発電システム開発」 (株式会社オルテナジー/旭硝子株式会社)
    【内容】導入分野は畜舎(屋根)。耐アンモニアガスを有する軽量部材による屋根面を加工なしで取付可能な架台と、軽量太陽電池モジュールの開発を行い、畜舎屋根設置の実証試験を行う。
  • 〔4〕  「太陽電池屋根設置型ビニールハウス植物工場化プロジェクト」 (ユニバーサリー電工株式会社)
    【内容】導入分野はビニールハウス。ビニールの撤去・被覆作業時に太陽電池の移設が必要なく、風雨にも強く発電効率のよい太陽電池の設置方法を開発し、実証試験を行う。
    また、付加機能としてビニールハウス内湿度制御装置の開発を行う。
  • 〔5〕  「簡易的太陽追尾型太陽光発電システムの営農型発電設備※1への応用開発」 (伊藤電工株式会社)
    【内容】導入分野は農地。営農型発電設備において、発電量向上と低コスト化を兼ね備えた太陽2軸追尾方式のシステムを開発し、実証試験を行う。
  • 〔6〕  「傾斜地用太陽光発電システムの実証」 (株式会社NTTファシリティーズ/株式会社アドテック富士)
    【内容】導入分野は傾斜地。多様な形状を有する傾斜地に対し、重機を使わず軽作業で可能な基礎架台技術や、太陽電池の自動取り付けを可能とする自動施工装置といった施工技術を開発し、実証試験を行う。
  • 〔7〕  「傾斜地における太陽光発電設置のための小径鋼管杭工法の開発・実証」 (奥地建産株式会社)
    【内容】導入分野は傾斜地。多様な形状を有する傾斜地に対し、架台をユニット化し、半完成品状態で工場出荷、現場にて取付施工する低コスト化を目的とする施工技術を開発し、実証試験を行う。
  • 〔8〕  「未利用水面を活用した浮体モジュールの開発及び導入実証」 (コアテック株式会社)
    【内容】導入分野は水上(淡水)。耐候性の高い浮体一体型太陽電池モジュール化技術、運搬・設置・撤去等のメンテナンス性を考慮した構造設計技術等を開発し、実証試験を行う。
  • 〔9〕  「海上・離島沿岸部太陽光発電プロジェクト」 (株式会社シリコンプラス)
    【内容】導入分野は水上(海水)。耐塩水に優れた太陽電池モジュール技術、及び電力安定化のためのシステム設計技術等を開発し、実証試験を行う。
  • 〔10〕 「鉄道線路内太陽光発電」 (株式会社フルーク)
    【内容】導入分野は鉄道路線。鉄道線路内に太陽電池パネルを配置した発電システムの検討。導入先としての可能性を調査する。
  • 〔11〕 「耐洪水対策の特種架台の設計及び施工方法の検討」 (株式会社Aースタイル)
    【内容】導入分野は河川敷。湿地特有の足場の悪い場所での施工技術の検討、課題抽出などを行い、導入先としての可能性を調査する。
  • 〔12〕 「コミュニティ型ベランダソーラーの研究開発」 (みんな電力株式会社)
    【内容】導入分野は集合住宅のベランダ。集合住宅ユーザー開拓を目的としたベランダ設置を想定し、発電した電力の利用形態や系統連系時の課題等を調査し、ベランダ設置型システムの仕様を検討する。

4. お問い合わせ先

(本プレスリリースの内容についての問い合わせ先)
NEDO 新エネルギー部 担当:濱田、名倉、西村 TEL 044-520-5277

(その他NEDO事業についての一般的な問い合わせ先)
NEDO 広報部 担当:遠藤 TEL 044-520-5151 E-mail:nedo_press@ml.nedo.go.jp

【参考:用語解説】

  • ※1 営農を継続しながら上部空間等に太陽光発電設備等の発電設備を設置し、農作物と電力の両方を得ようとするもので、ソーラーシェアリングとも呼ばれます。

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