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インドで高効率な簡易選炭技術を実証
―灰分34%以下の高品位な石炭の回収率を3%向上―

2014年7月28日
NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)
理事長 古川一夫

NEDOは2008年度から、インド石炭省と共同で日本の高効率な簡易選炭技術を用いた実証事業を同国のオディシャ州で実施、灰分40~50%の原炭から高品位分(灰分34%以下)の回収率を3%向上できることを確認しました。

この高効率簡易選炭技術を導入した施設がこのほど完成、7月25日に現地で両国の石炭業界関係者を集め竣工式を開催しました。

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竣工した高効率簡易選炭設備

1.概要

インドの石炭火力発電所においては、近年の良質な国内炭の枯渇により、灰分の多い低品位炭の使用が課題となっています。また、灰分を多く含む石炭の輸送効率の悪さや燃焼時のエネルギー効率の悪さ、灰処理等の環境問題が顕在化してきており、選炭に対するニーズが高まってきています。当該実証事業においては、インドのオディシャ州タルチャー炭田に近いアングル(Angul)地区に、我が国の技術による高効率簡易選炭設備を導入した実証施設を建設し、灰分を多く含むインド産石炭に対する当該技術の有効性と経済性を実証しました。

今後はインドにおいて、環境問題の解決にもつながる我が国の高効率な選炭技術の普及が期待されます。

  • 事業期間:2008年度~2014年度
  • 予算規模:約17億円(うちNEDO負担額 約5.7億円)
  • 委託先 :一般財団法人石炭エネルギーセンター、永田エンジニアリング株式会社
  • 実証場所:インド共和国オディシャ州アングル地区
  • 施設規模:処理能力350t/h(インド国内の平均的な選炭工場と同規模)
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    実証サイト地図
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    選炭システム概念図

2.今回の成果

[1]選炭性能及び経済性を実証

灰分を多く含むインド産石炭(灰分40~50%程度)を効率的に、灰分34%以下の高品位炭と、灰分が主成分であるボタに分離することが可能であることを実証するとともに、当該選炭技術の導入により、従来の選炭技術に比べて、高品位炭の回収率を3%程度向上できることを実証しました。

なお、高品位炭の回収率の3%の向上により、インドの平均的な選炭工場においては、年間約2億円※1の売上の向上が可能となります。

  • ※1:選炭工場での選炭処理量220万トン、選炭によって得られる高品位炭単価30ドル/トンとして試算。

[2]普及に向けた技術の有効性をPR

7月25日(金)、実証サイトのあるオディシャ州アングル地区において、インドの石炭省と共同で我が国の選炭技術の普及事業の一環としてセミナー等を開催しました。

同セミナーには、日本側からNEDO土屋理事が出席したほか、NEDOの委託先である一般財団法人石炭エネルギーセンターの加藤専務理事及び永田エンジニアリング株式会社の麦田社長他が参加しました。また、インド側からはマハナディ・コールフィールズ社のサハイ会長、石炭省のプラサド・アドバイザー、モネット社のムドガル副社長他が出席、日・インド両国から計約60名が出席しました。

3.問い合わせ先

(本ニュースリリースの内容についての問い合わせ先)

NEDO 環境部 担当:谷山、在間 TEL:044-520-5293

(その他NEDO事業についての一般的な問い合わせ先)

NEDO 広報部 担当:坂本、佐藤 TEL:044-520-5151 E-mail:nedo_press@ml.nedo.go.jp