ドイツでスマートコミュニティ実証に向けた事前調査を開始
―太陽光発電の「自己消費モデル」確立を目指す―
2014年12月8日
NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)
理事長 古川一夫
NEDOは、ドイツで、シュパイヤー市、シュパイヤー電力公社、住宅供給公社GEWO(ゲボ)社などと協力し、エネルギー地産地消型のスマートコミュニティ実証事業に向けた事前調査を開始します。
本事業では、我が国の優れた蓄電・蓄熱技術やICT技術により実証システムを構築し、太陽光発電で発電した電力を地産地消する「自己消費モデル」の確立などを目指します。

1.概要
ドイツでは現在、電力需要の20%以上を再生可能エネルギーで賄っており、政府はその比率を2020年に35%、2050年に80%にする目標を掲げていますが、太陽光発電のコスト低減に伴い、すでにグリッドパリティ※1が成立しており、固定価格買取制度が事実上終了しています。このため、太陽光発電設備を設置した電力需要家が太陽光発電によって発電した電力を電力会社に売電するメリットが失われた状況になっています。また、太陽光発電からの逆潮流※2は配電線の容量制約から受け入れられにくく、既にインバータの出力抑制を住宅用太陽光発電設備にも課しており、太陽光発電によって発電した電力を極力、自家消費し、電力会社に売電しないシステムを構築することが喫緊の課題となっています。
このような背景から、NEDOは、再生可能エネルギー導入の先進国の一つであるドイツで、シュパイヤー市、シュパイヤー電力公社、住宅供給公社GEWO(ゲボ)社などと協力し、太陽光発電設備を設置した電力需要家の経済的なメリットを高めるとともに、逆潮流による配電系統の電力品質低下に対処するため、エネルギー地産地消型のスマートコミュニティ実証事業に向けた事前調査を開始します。
本事業では、我が国の優れた蓄電技術、ヒートポンプ温水器のような蓄熱技術、HEMSの機能を実現するICT技術により実証システムを構築し、実際の生活環境のなかでの運転を通じて、太陽光発電で発電した電力を地産地消する太陽光発電の「自己消費モデル」を確立し、ドイツの重要課題である太陽光発電からの逆潮流抑制に貢献するとともに、住宅における熱を含めたトータルのエネルギーコストを低減する効果の実証も目指します。
【用語解説】
※1 グリッドパリティ:再生可能エネルギーの発電コストが、電力系統から購入する電気料金と等しくなること。
※2 逆潮流:太陽光・風力発電等の自家発電設備が電力系統に連系され運転されている状態において、消費する電力よりも発電する電力が大きくなり、発電者の構内から電力系統へ向かう電力の流れのこと。
2.委託予定先
株式会社NTTドコモ
株式会社NTTファシリティーズ
株式会社野村総合研究所
日立化成株式会社
株式会社日立情報通信エンジニアリング
3.問い合わせ先
(本ニュースリリースの内容についての問い合わせ先)
NEDO スマートコミュニティ部 担当:山川、三宅 TEL:044-520-5274
(その他NEDO事業についての一般的な問い合わせ先)
NEDO 広報部 担当:上坂、佐藤、坂本 TEL:044-520-5151 E-mail:nedo_press@ml.nedo.go.jp