1.5MWハイブリッド大規模蓄電システムを開発
―伊豆大島で2015年度から実証試験開始―
2014年12月24日
NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)
理事長 古川一夫
NEDOプロジェクトにおいて、(株)日立製作所と新神戸電機(株)は、高入出力・長寿命鉛蓄電池とリチウムイオンキャパシタを組み合わせた1.5MWハイブリッド大規模蓄電システムを開発、2015年度から実証試験を開始します。
実証試験は、東京電力(株)管内にある東京都伊豆大島の電力系統で実施。1.5MWハイブリッド大規模蓄電システムの有効性を検証・評価し、幅広いニーズに柔軟に対応できる蓄電システムの実現を図ります。
日立製作所と新神戸電機は、東京電力と実証試験の開始について合意しました。

1.概要
気象に左右されやすい風力・太陽光発電などの再生可能エネルギーの大量導入時において、蓄電システムは余剰電力の再利用や電圧および周波数の変動を抑制し、電力の安定供給を実現する有望な手段のひとつとして注目されており、実用化に向けたさまざまな取り組みが行われています。なかでも、伊豆大島など独立した電力系統を持つ地域は、再生可能エネルギーの大量導入時に電力系統に与える影響が大きいため、電力系統の安定化が求められています。
NEDOプロジェクト※1において、(株)日立製作所と新神戸電機(株)は、「高入出力・長寿命鉛蓄電池」と「1.5MWハイブリッド大規模蓄電システム」を開発しています。これまでに、「高入出力・長寿命鉛蓄電池」については、現行高入出力品と比べて1.7倍※2の高入出力を達成、1.2倍※2、3の長寿命化を実現する見通しを得ました。また、この鉛蓄電池とリチウムイオンキャパシタを組み合わせ、短時間で大電力の充放電が可能な「1.5MWハイブリッド大規模蓄電システム」を開発しました。
この度、(株)日立製作所と新神戸電機(株)は、東京電力(株)と、鉛蓄電池とリチウムイオンキャパシタを組み合わせた1.5MWハイブリッド大規模蓄電システムの実証試験を、東京電力(株)管内にある東京都伊豆大島の電力系統で2015年度から開始することに合意しました。
2015年度から、このシステムを伊豆大島の電力系統に接続し、ピークシフトや短周期変動抑制の機能およびその寿命など、ハイブリッド大規模蓄電システムの有効性について検証・評価を行う予定です。
2.これまでの成果
このプロジェクトで、(株)日立製作所と新神戸電機(株)が、2011年度から取り組んできた技術開発の主な成果は以下の通りです。
〔1〕高入出力・長寿命鉛蓄電池の開発
電池の構造や材料の改良を行い、入出力特性を向上させるとともに、運用時に定期的に実施するリフレッシュ充電の最適化などを図ることで、更なる高入出力化(現行高入出力品比 1.7倍)を達成し、同時に更なる長寿命化(同1.2倍)を実現する見通しを得ました。
〔2〕1.5MWハイブリッド大規模蓄電システムの開発
ピークシフトやピークカットに対応するための電力貯蔵に有利な「高入出力・長寿命鉛蓄電池」と、電圧および周波数の短周期変動を抑制するのに有利な「リチウムイオンキャパシタ」を組み合わせ、最適な電流の入出力制御技術を適用することで、短時間で大電力の充放電が可能なハイブリッド大規模蓄電システムを開発しました。これにより、出力変動の緩和や余剰電力の再利用、周波数の安定化を実現します。
3.今後の予定
2015年度から行う実証試験を通じて、より実用に近い制御技術を確立し、幅広いニーズに柔軟に対応できる蓄電システムの実現を図ります。
【用語解説】
※1 NEDOプロジェクト
名称:安全・低コスト大規模蓄電システム技術開発/安全・低コスト大規模ハイブリッド型蓄電システム技術開発
期間:2011~2015年度
参加機関:(株)日立製作所、新神戸電機(株)
※2 新神戸電機(株)製LL1500-WS形比
※3 新神戸電機(株)指定充放電でのベンチ試験における寿命
4.問い合わせ先
(本ニュースリリースの内容についての問い合わせ先)
NEDO スマートコミュニティ部 担当:森、臼田 TEL:044-520-5264
(その他NEDO事業についての一般的な問い合わせ先)
NEDO 広報部 担当:上坂、佐藤、坂本 TEL:044-520-5151 E-mail:nedo_press@ml.nedo.go.jp