本文へジャンプ

プリンテッドエレクトロニクス技術によるフレキシブルTFTを開発
―凸版印刷が部分的なカラー化を実現した世界初のレール型電子棚札を開発―

2015年3月3日
NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)
理事長 古川一夫

NEDOプロジェクトにおいて、凸版印刷(株)は、省エネルギー、軽量、フレキシブル性を実現可能なプリンテッドエレクトロニクス技術によるTFTを開発しました。さらに、このTFTを用いて凸版印刷は、薄く・軽く・曲がるフレキシブル電子ペーパーを開発するとともにカラーフィルタ技術を適用し、部分的なカラー化を可能にしたレール型電子棚札(ESL)を実現しました。
 今後、これらの技術をスーパーマーケットなどの商品棚に使われる価格表示システムに適用し、見やすさと超低消費電力を両立したレール型電子棚札の実用化を目指します。

部分的なカラー化を実現した「レール型電子棚札(ESL)」の写真
部分的なカラー化を実現した「レール型電子棚札(ESL)」

1.概要

電子ペーパーは、紙代替など用途の多様化から、軽量化やフレキシブル性、落としても割れない丈夫さが求められています。また、真空や高温を利用した多量のエネルギーを消費する製造方式から、省資源化が可能な環境調和型の製造技術への展開が期待されています。
 NEDOは2010年から、印刷によるフレキシブルデバイスの連続製造技術の開発と、その適用先として電子ペーパーやフレキシブルセンサといったデバイス技術の開発を行うプロジェクトを実施しており、プリンテッドエレクトロニクス※1の早期実用化・ビジネス展開を目指しています。
 今般、NEDOプロジェクトにおいて、凸版印刷(株)は、省エネルギー、軽量、フレキシブル性を実現可能なプリンテッドエレクトロニクス技術によるTFT※2を開発しました。さらに、このTFTを用いて凸版印刷(株)は、薄く・軽く・曲がるフレキシブル電子ペーパーを開発するとともに、カラーフィルタ技術を適用し、部分的なカラー化を可能にしたレール型電子棚札(ESL※3)を実現しました。
 レール型ESLは、薄く、軽く、割れないプラスチック基材を用いるため、割れずに安全であり、また湾曲表示が可能であるため、どこからも見やすいという特長があります。
 今後、凸版印刷(株)では、これらの技術をスーパーマーケットなどの商品棚に使われる価格表示システムに適用し、見やすさと超低消費電力を両立したレール型電子棚札の2017年度の実用化を目指します。
 なお、本成果は、2015年3月3日から6日まで東京ビッグサイトで開催される「リテールテック2015」のトッパンブースで、参考出品します。

2.今回の成果

今回開発したフレキシブル電子ペーパーは、全印刷型フレキシブルTFTとE Ink電子ペーパー前面板を組み合わせることで実現しています。
 従来困難であった全印刷型フレキシブルTFTは、有機半導体材料、導電性材料、絶縁性材料などを積層する印刷プロセスの確立により可能となりました。プラスチック基板上に印刷プロセスでTFTを形成するためには、これらの材料に適した印刷方法を使い分ける必要があり、複数の層を精度良く位置合わせすることが重要です。凸版印刷(株)が強みを有する印刷テクノロジーを駆使することで、これらの課題を解決し、全印刷型フレキシブルTFTを実現しました。
 凸版印刷(株)は、このTFTを用いて薄く・軽く・曲がるフレキシブル電子ペーパーを開発し、レール型ESLに適用しました。さらにカラーフィルタ技術を適用し、部分的なカラー表示を可能としたレール型ESLを世界で初めて開発しました。

【フレキシブルTFT製造技術のポイント】

  • 高精細電極形成を可能とする転写印刷プロセス技術(高解像性、直線性、平坦性を実現)
  • ライン/スペース 1μm/1μmの高精細銀配線
  • 有機半導体層形成を可能とするフレキソ印刷プロセス技術
  • 印刷TFTアレイ製造技術(TFT素子の高移動度化とバラツキの低減)
  • フレキシブルTFT製造技術のポイントの図

【用語解説】

※1 プリンテッドエレクトロニクス
印刷技術を利用して電子回路などのエレクトロニクス製品を生産すること。印刷技術の特性を活かして、基板としてさまざまな素材を利用できること、これまでの生産方式よりも簡便なプロセスでの生産が可能となることから、次世代の技術として期待されています。

※2 TFT(Thin Film Transistor)
薄膜状に加工された電界効果型トランジスタ。

※3 ESL(電子棚札:Electronic Shelf Label)
食品スーパーなどの商品棚に使われる液晶などの表示画面に商品の価格を表示させるシステム。

3.問い合わせ先

(本ニュースリリースの内容についての問い合わせ先)
NEDO 電子・材料・ナノテクノロジー部 担当:安藤、後藤 TEL:044-520-5220

(その他NEDO事業についての一般的な問い合わせ先)
NEDO 広報部 担当:上坂、佐藤、坂本 TEL:044-520-5151 E-mail:nedo_press@ml.nedo.go.jp

関連ページ