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100ギガ動作の小型デジタルコヒーレント光トランシーバを開発
―従来の半分のサイズと低消費電力を実現―

2015年3月19日
NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)
技術研究組合光電子融合基盤技術研究所
富士通オプティカルコンポーネンツ株式会社

NEDO、技術研究組合光電子融合基盤技術研究所(PETRA)、富士通オプティカルコンポーネンツ(株)は、データの伝送性能を飛躍的に向上させることが可能なデジタルコヒーレント技術を適用した小型光トランシーバを開発しました。この光トランシーバは、光エレメントの小型化と高密度パッケージング技術などにより、従来の半分のサイズ(108×42×12mm)と低消費電力(12W)を実現しており、情報通信機器に装着することで、80kmから1000km以上の100ギガイーサネット伝送が可能となります。

今後、富士通オプティカルコンポーネンツ(株)が、フィールド実証と信頼性の確立を行い、2015年度中の事業化を目指します。

小型デジタルコヒーレントトランシーバの外観の写真
小型デジタルコヒーレントトランシーバの外観

1.概要

クラウドコンピューティングの進展によりデータセンタ等における情報処理量や通信トラフィックが指数関数的に増大し、それに係る電力消費量も急増することが予想されています。このため、情報通信機器等の高速化と低消費電力化を両立できる技術の実現が望まれています。

NEDO、技術研究組合光電子融合基盤技術研究所(PETRA)、富士通オプティカルコンポーネンツ(株)は、「超低消費電力型光エレクトロニクス実装システム技術開発プロジェクト」で、LSIチップ等で入出力される電気信号を光信号に変える電気・光変換技術や高速の光信号を伝えるための光配線技術、伝送技術等の要素技術とそれらを集積化する技術を開発し、電子回路技術と融合させた光電子融合システム技術の確立を目指しています。

今回、技術研究組合光電子融合基盤技術研究所(PETRA)の研究開発により得られた、データの伝送性能を飛躍的に向上させることが可能なデジタルコヒーレント技術※1を適用し、富士通オプティカルコンポーネンツ(株)が小型光トランシーバを開発しました。この光トランシーバを情報通信機器に装着することで、80kmから1000km以上の100ギガイーサネット伝送が可能となります。

今回の開発成果は、3月24日から26日まで米国カリフォルニア州ロサンゼルスで開催される国際会議OFC2015※2の技術研究組合光電子融合基盤技術研究所(PETRA)の展示ブースにおいて動態デモンストレーョンを実施する予定です。

2.今回の成果

現在、100Gイーサネットの光インターフェースで業界標準規格となっているCFP2 MSA光トランシーバ※3と同一の外形形状を維持しつつデジタルコヒーレント伝送に必要な各種光デバイスを搭載することに成功しました。光エレメントの小型化と高密度パッケージング技術や高精度な自動搭載技術の開発とデジタル信号処理に必要なDSP-LSIをトランシーバの外部に配置することにより、従来の半分のサイズ(108×42×12mm)と低消費電力(12W)を実現しました。光トランシーバとDSP-LSI間のインターフェースは、OIF※4で審議中の業界標準規格に準拠しています。

3.今後の予定

今後、富士通オプティカルコンポーネンツ(株)が、開発した小型デジタルコヒーレント光トランシーバの情報通信機器との接続性を確認するとともに、フィールド実証実験を行う予定です。同時に、信頼性に関する技術を確立し、2015年度中の事業化を目指します。

【用語解説】

※1 デジタルコヒーレント技術
受信側に設置した光源と受信した光信号を干渉させるコヒーレント受信と、超高速デジタル信号処理を組み合わせることで、伝送性能を飛躍的に向上させる光伝送方式。
※2 OFC2015
OFCは、Optical Fiber Communication Conference and Expositionの略称。IEEE(米国電気電子学会)とOSA(米国光学会)が主催し、毎年米国で3月に開催される光通信に関する世界最大級の国際会議。
※3 CFP2 MSA光トランシーバ
CFPは、100G Form-factor Pluggableの略。Cはローマ数字で100を表す。装置の電源を切らずに(活線)挿抜可能な光トランシーバのMSAの一つ。MSAとはMulti-Source Agreementの略で、製品のパッケージサイズ、ビン配置、およびスペックなどを複数のベンダー間で共通化する事で、製品の安定した供給体制を確立するためのベンダー間の取り決めのこと。
※4 OIF
Optical Internetworking Forumの略。光ネットワーク機器と、その部品全般に係わる業界標準(IA: Implementation Agreement)の推進を行うフォーラム標準化団体。

4.問い合わせ先

(本ニュースリリースの内容についての問い合わせ先)

NEDO 電子・材料・ナノテクノロジー部 担当:水野、波佐、中村 TEL:044-520-5211

技術研究組合光電子融合基盤技術研究所 TEL:03-5225-2362

富士通オプティカルコンポーネンツ株式会社 営業統括部 販売推進部 担当:堀米

TEL:044-754-3086 E-mail:foc-contact-pr@ml.jp.fujitsu.com

(その他NEDO事業についての一般的な問い合わせ先)

NEDO 広報部 担当:上坂、佐藤、坂本 TEL:044-520-5151 E-mail:nedo_press@ml.nedo.go.jp

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