世界初 新幹線車両の高速走行にフルSiCパワーモジュールを搭載
―NEDO事業の成果、新幹線の小型・軽量化、省エネ化に貢献―
2015年6月30日
NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)
理事長 古川一夫
NEDOプロジェクトの成果を活用し、三菱電機(株)は3.3kV/1500A定格大容量フルSiCパワーモジュールを適用した主変換装置を開発し、東海旅客鉄道(株) 東海道新幹線N700系試験車両に搭載されました。フルSiCパワーモジュールを適用した新幹線車両での高速走行は世界初となります。
フルSiCパワーモジュールを適用することで装置の小型・軽量化と省エネルギー化が可能となります。

1.概要
パワーエレクトロニクスは、自動車、鉄道車両、産業機器や家電など生活に身近な様々なところに適用され、それらの高性能化や省エネルギー化を支えるキーテクノロジーです。
NEDOは2009年度から、「低炭素社会を実現する次世代パワーエレクトロニクスプロジェクト」において、さらなる高性能化や省エネルギー化を実現する材料・デバイス・応用拡大等に関するパワーエレクトロニクス分野の技術開発を推進しております。本プロジェクトの一環として、パワー半導体デバイスを従来のSiデバイスからSiC※1デバイスに置き換えて、大幅な電力損失の低減と装置の小型化を目指すテーマを2014年度まで実施しました。
今般、本テーマの成果を一部活用し、三菱電機株式会社は大容量フルSiCパワーモジュールを適用した主変換装置※2を開発し、東海旅客鉄道株式会社 東海道新幹線N700系試験車両に搭載されました。3.3kV/1500A定格大容量フルSiCパワーモジュールはこれまで小田急電鉄株式会社1000形リニューアル車への採用実績がありましたが、新幹線車両での高速走行は世界初となります。フルSiCパワーモジュールを適用することで装置の小型・軽量化を実現し、新幹線の省エネルギー化が可能となります
2.今後の予定
新幹線車両への適用のみならず、NEDOでは2015年度から新しい応用分野開拓を目指した先導研究を実施するなど、パワーエレクトロニクスの適用範囲拡大にも取り組んでおり、本分野の発展を通じて、日本の産業競争力強化をさらに推進します。
【用語解説】
- ※1 SiC
- シリコンカーバイド(炭化ケイ素)。ケイ素と炭素の化合物で、これを用いて作った半導体デバイスと従来のシリコン半導体デバイスを比べると、内部の電力損失が1/100と小さく、高い周波数・高い温度(300℃程度まで。Siの場合は100℃程度まで)で使用することができる。
- ※2 主変換装置
- 主変圧器により降圧された交流下線電圧を変換し、主電動機へ電力を供給する装置。
3.問い合わせ先
(本ニュースリリースの内容についての問い合わせ先
NEDO 電子・材料・ナノテクノロジー部 担当:間瀬、柚須 TEL:044-520-5211
(その他NEDO事業についての一般的な問い合わせ先)
NEDO 広報部 担当:髙津佐、坂本、佐藤 TEL:044-520-5151 E-mail:nedo_press@ml.nedo.go.jp