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超小型光トランシーバを搭載した実装ボードを開発
―大容量LSI間で伝送速度25Gbpsを実現―

2015年9月30日
NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)
技術研究組合光電子融合基盤技術研究所

NEDOと技術研究組合光電子融合基盤技術研究所(PETRA)は、大容量LSI用光インタフェースに向け、大容量LSI周辺に先に開発したシリコンフォトニクス技術を用いた世界最小5mm角の超小型光トランシーバ(光I/Oコア)を搭載した実装ボードと大容量LSIと光I/Oコア間のデータ伝送で課題となっていた信号の反射、減衰をマネジメントする高速伝送技術を新たに開発、チャンネルあたり25Gbpsの高速伝送を実現しました。

この技術を基に、大容量LSI間の接続において消費電力を従来比1/3以下に抑えながらボード全体で最大2.4Tbpsの大容量伝送の実証試験を進めることにより、サーバなどの情報通信機器の小型化、省電力化、高速化とともに省エネかつコンパクトなデータセンタの実現が期待されます。

大容量LSI周辺に光I/Oコアを搭載した実装ボードの図
図1 大容量LSI周辺に光I/Oコアを搭載した実装ボード

1.概要

NEDOと技術研究組合光電子融合基盤技術研究所(PETRA)は、これまでにシリコンフォトニクス技術※1を用いて、世界最小の5mm角で、1Gbps※2あたり5mWの消費電力、1チャンネルあたり25Gbpsの伝送速度の超小型光トランシーバ(光I/Oコア※3)の開発を実現しており、今回、大容量LSIと光I/Oコア間のデータ伝送において課題となっていた電気信号の反射、減衰をマネジメントする高速伝送技術と、光I/Oコアを大容量LSI周辺に実装するボードを新たに開発し、大容量LSI用光インタフェースに向けたチャンネルあたり25Gbpsの高速伝送を実現しました。

本技術を基に、光I/Oコアが持つ光と電気の入出力機構にFPGA※4やCPU※5などの大容量LSI間をつなぎ、消費電力を従来比1/3以下に抑えながらボード全体で最大2.4Tbps(ハイビジョン映画36時間分を1秒で送付可能な高速伝送技術に相当)の大容量データの高速での送受を実証することにより、サーバなどの情報通信機器の小型化、省電力化、高速化とともに省エネかつコンパクトなデータセンタの実現が期待されます。

2.今回の成果

[1]大容量LSI周辺に光I/Oコア搭載した実装ボードを開発

40mm角のFPGAチップ周辺に5mm角の光I/Oコアを16個配置し、大規模LSI用のIOボトルネックを解消する大容量光インタフェースに向けた光入出力付LSI基板と評価用実装ボードを開発しました(図1)。

[2]FPGAから1chあたり速度25Gbpsで入出力伝送を実証

FPGAから25Gbpsの電気信号を光入出力付LSI基板上の送信用光I/Oコア(Tx)で光信号に変換した後、マルチモードファイバ※6に結合、ループバックで受信用光I/Oコア(Rx)に戻し電気信号に変換して、FPGAで受信する高速伝送実証を行いました。25Gbpsの高速電気信号を光I/Oコアに伝送するため、信号の反射、減衰をマネジメントした高速伝送技術を新たに開発しました。この時の電気信号及び光信号波形を図2に示します。これにより、FPGA間を25Gbpsの光信号で結ぶことが実用上問題ないことを実証できました。

  • FPGA間の25Gbps光信号伝送の図
    図2 FPGA間の25Gbps光信号伝送

3.今後の予定

今後、FPGA間のマルチモードファイバ伝送等における課題を解決することで2.4Tbpsの大容量伝送の実証実験を進めてまいります。また、今回開発した大容量LSI用光インタフェース技術を、CPU等の他の大容量LSIに適用し、サーバノード間インタフェース※7として実用化を進めてまいります。

【用語解説】

※1 シリコンフォトニクス技術
シリコン基板上に光素子を形成する技術。シリコンを用いることにより光回路を小型化でき、大規模集積が可能になる。また、光回路と電子回路を一体形成や製造コストの低減が可能になるなどの特長を持つ。
※2 1Gbps
通信回線などのデータ伝送速度の単位で、1秒間に1ギガ(1x109)ビットのデータを伝送する速度
※3 光I/Oコア
技術研究組合光電子融合基盤技術研究所が命名した、シリコンフォトニクス技術を用いた超小型の光トランシーバチップの名称。
※4 FPGA(Field Programmable Gate Array)
製造後に購入者や設計者が構成を設定できる集積回路で、デジタル信号処理等に使われる。回路規模が大きなFPGAでは、高速インタフェースを多数備えている。
※5 CPU(Central Processing Unit)
情報処理機器において中心的な処理装置として働く集積回路であり、回路規模が大きなCPUでは、高速インタフェースを多数備えている。
※6 マルチモードファイバ
光ファイバの種類を示す。シングルモードファイバは長距離伝送に優れるが、光が伝搬するコア径が10μmと小さい。一方、マルチモードファイバは、伝送距離が短くなるが、コア径が50μmと大きいため、光ファイバの取り付けが簡便になる特徴を持つ。
※7 サーバノード間インタフェース
サーバ間を接続するためのインタフェース

4.問い合わせ先

(本ニュースリリースの内容についての問い合わせ先)

NEDO 電子・材料・ナノテクノロジー部 担当:水野、波佐 TEL:044-520-5211
技術研究組合光電子融合基盤技術研究所 TEL:03-5225-2362

(その他NEDO事業についての一般的な問い合わせ先)

NEDO 広報部 担当:坂本、佐藤、髙津佐 TEL:044-520-5151 E-mail:nedo_press@ml.nedo.go.jp

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