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間葉系幹細胞の再生医療実用化に貢献する製品開発に成功

―DNAチップ研究所、ゼノアックリソース、大陽日酸の3社が開発、製品化へ―
2015年10月8日
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
幹細胞評価基盤技術研究組合
株式会社DNAチップ研究所
ゼノアックリソース株式会社
大陽日酸株式会社
国立研究開発法人国立成育医療研究センター
国立研究開発法人産業技術総合研究所
学校法人東海大学
国立研究開発法人日本医療研究開発機構

NEDOプロジェクトの成果をもとに、(株)DNAチップ研究所、ゼノアックリソース(株)、大陽日酸(株)の3社は、再生医療製品製造に貢献する製品開発に成功しました。

これらの成果は、再生医療製品の品質を評価し、それらの品質を維持したまま各医療機関等へ供給するために必要な要素技術群であり、間葉系幹細胞の再生医療実用化への貢献が期待されます。

  • 再生医療製品製造における本成果の位置づけ
    再生医療製品製造における本成果の位置づけ

1.概要

これまでNEDOでは、「再生医療の産業化に向けた細胞製造・加工システムの開発」※1において、医療の場に供される再生医療製品を安全かつ安価に製造・加工するための、各プロセスが連携した製造システム構築に関する研究開発を実施してきました。その中で、サブプロジェクトリーダー(SPL)である阿久津英憲(国立成育医療研究センター生殖医療研究部部長)の研究グループでは、幹細胞評価基盤技術研究組合※2の11の組合員機関(8企業、2研究機関、1団体)と3共同研究先機関(2大学、1研究機関)が連携して、臨床医療現場のニーズを最大限反映した、高品質間葉系幹細胞※3製品を製造・供給するシステムを実現することを目標に、ヒト間葉系幹細胞由来の再生医療製品製造システムの開発を推進しています。

今般、本プロジェクトの成果をもとに、(株)DNAチップ研究所、ゼノアックリソース(株)および大陽日酸(株)の3社は、間葉系幹細胞を対象とした再生医療製品製造に貢献する製品開発に成功しました。

具体的には、(株)DNAチップ研究所では、ヒト間葉系幹細胞の品質評価に特化したカスタムアレイCGH※4解析サービスの開始、ゼノアックリソース(株)では、Good Manufacturing Practice(GMP)※5に準拠した細胞凍結保存液の商品化、大陽日酸(株)では、温度履歴情報統合管理システムの開発を実現しました。

これらの成果は、細胞を育て、保存し、届ける工程に貢献する製品および技術提供であり、再生医療の最終製品の品質を評価し、それらの品質を維持したまま各医療機関等へ供給するために必要な要素技術群として、間葉系幹細胞の再生医療実用化への貢献が期待されます。また今後、本プロジェクトにおいて、分離・精製技術、培養技術、保存・管理技術、幹細胞評価技術および前臨床研究の各課題にチームを組んで取り組み、最終的には、国立成育医療研究センター内に設置されている集中研究室にて、開発された技術を統合し、システム化する予定です。

なお、これらの成果は、2015年10月14日(水)~16日(金)の間、パシフィコ横浜で開催される「バイオジャパン2015」において幹細胞評価基盤技術研究組合ブースに展示されます。

2.今回の成果

(1)幹細胞評価への貢献:アレイCGH解析サービス((株)DNAチップ研究所)

培養細胞を用いて再生医療へ臨床応用する上で、その品質の確保は非常に重要な課題の1つです。特に長期間培養を継続する際、それに伴う細胞の形質変化、ゲノム構造変化などの有無を調べることは非常に重要です。これまで品質を担保するために行われることがある染色体核型解析では、多数の細胞と数週間もの時間がかかっていました。

(株)DNAチップ研究所は、ヒト間葉系幹細胞の品質評価に特化したカスタムアレイCGH解析技術を開発し、従来の検査法(染色体解析)と比べ、「短期間(5分の1)」、「少ない細胞試料(10分の1)」、「高解像度(100倍詳しく)」で再生医療用細胞のゲノム異常を検出することが可能となるC3チェックサービス(a CGH for Cultured Cells Check Service)を実現しました。本サービスは、2015年10月8日から開始する予定です。

本成果は、今後の再生医療分野における安全性・安定性評価のための重要な手法の1つとして期待されます。

  • 図 サービスの流れ
    サービスの流れ

(2)細胞保存・管理への貢献:GMP準拠間葉系幹細胞凍結保存液(ゼノアックリソース(株))

再生医療の発展には細胞の保存・輸送の品質管理が必須です。国立成育医療研究センター、産業技術総合研究所、ゼノアックリソース(株)は、本プロジェクトにおいて移植用ヒト間葉系幹細胞の輸送可能な保存技術の開発を行い、国産初となるGMPに準拠した細胞凍結保存液の商品化に成功しました。

本細胞凍結保存液は、様々な間葉系幹細胞を安定して保存可能で、世界基準のGMP準拠製造施設および品質管理の下で作製された製品であり、バイオテクノロジーや再生医療分野で大きく貢献できるものと期待されます。また、生産拠点が福島県郡山市にあり、“メイドイン福島”の再生医療関連製品です。

本細胞凍結保存液は、ゼノアックリソース(株)が商品化し、2015年5月25日に販売を開始しています。

  • 発売元:ゼノアックリソース(株)
  • 製造元:日本全薬工業(株)

※本製品の国内における販売はタカラバイオ(株)と提携しています。

  • 写真 細胞凍結保存液
    細胞凍結保存液

(3)細胞保存・管理・移送への貢献:温度履歴情報統合管理システム(大陽日酸(株))

再生医療における細胞利用の実用化には、再生医療用細胞の増殖培養後の凍結処理、拠点間の輸送移動が必須となり、細胞の品質管理の観点から個々の生体試料が辿ってきた環境の記録は不可欠のものとなります。

国立成育医療研究センターと大陽日酸(株)は、再生医療用細胞の凍結、解凍、移送までの複数におよぶ工程の個々の温度データを一括管理する「温度履歴情報統合管理システム」を開発しました。

本システムは、拠点間の輸送時のみならず、凍結処理の環境や解凍処理の環境、施設内の移動環境も記録管理することが可能であり、2016年4月の商品化を予定しています。

  • 図 温度履歴情報統合管理システムの概要
    温度履歴情報統合管理システムの概要

【用語解説】

※1 再生医療の産業化に向けた細胞製造・加工システムの開発
事業期間は2014年度~2018年度であり、うち本成果に係るテーマは2014年度~2016年度。また、本プロジェクトは2014年度はNEDOで実施し、2015年度より国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)で実施しています。
※2 幹細胞評価基盤技術研究組合
幹細胞評価基盤技術研究組合は、「幹細胞実用化に向けた評価基盤技術の開発」を実施するため、2011年2月に設立されました。企業26、研究機関2、団体1の計29の組合員で構成されています。組合と同様に本プロジェクトを実施している大学、研究機関等と共同研究体制を構築し、研究開発を推進しています。
※3 間葉系幹細胞
骨髄や脂肪など「間葉」といわれる組織由来の体性幹細胞で、我々の体内にも存在します。軟骨、骨、脂肪、心筋、神経などへの分化能を有し、iPS/ES細胞と共に、再生医療への応用が大きく期待されている細胞です。腫瘍形成能がほとんど無いと考えられており、間葉系幹細胞を用いた多くの臨床研究が国内外で進められています。
※4 アレイCGH
CGH法(Comparative Genomic Hybridization:比較ゲノムハイブリダイゼーション)は、1992年にKallioniemiらが、Science誌で発表した方法であり、FISH法(Flourescence In Situ Hybridization)を応用し、全染色体を対象として、ゲノムDNAが増幅(gain)、欠失(loss)した領域を検出します。アレイCGH法は、マイクロアレイとCGH法を組み合わせることで、ハイスループットに目的遺伝子、ゲノムDNA領域のコピー数変化の検出を可能にした方法です。
※5 Good Manufacturing Practice(GMP)
医薬品および医薬部外品の品質確保を図るため、原料の受入れから最終製品の包装、出荷に至るまで、全製造工程における組織的な管理に基づく品質保証体制を確立するために定められた基準。GMPグレード品は、新たに建設したGMP基準に適合した工場で、GMP体制の下、GMP基準にのっとった製造方法で製造しています。製品が環境にさらされる作業はすべてグレードA環境で実施し、調製液のバイオバーデン管理、無菌ろ過フィルターの完全性試験を行うことによって無菌性を保証しています。

3.問い合わせ先

(本ニュースリリースの内容についての問い合わせ先)

  • NEDO ロボット・機械システム部 担当:福井 TEL:044-520-5241
  • 幹細胞評価基盤技術研究組合 専務理事 中村 吉宏 TEL:03-5541-2790
  • 株式会社DNAチップ研究所 総務課長 大塚 勉 TEL:045-500-5211(代表)、03-5777-1700(11月1日から)
  • ゼノアックリソース株式会社 細胞工学研究室室長 佐瀬 孝一 TEL:024-945-2300
  • 大陽日酸株式会社 国際・経営企画本部広報・IR部 鎌田、田代 TEL:03-5788-8015
  • 国立研究開発法人国立成育医療研究センター研究所 再生医療センター 生殖医療研究部 部長 阿久津 英憲 TEL:03-5494-7048
  • 国立研究開発法人産業技術総合研究所 創薬基盤研究部門 幹細胞工学研究グループ グループ長 伊藤 弓弦 TEL:029-861-3004
  • 学校法人東海大学 医学部 外科学系 整形外科学 教授 佐藤 正人 TEL:0463-93-1121(内2320)
  • 国立研究開発法人日本医療研究開発機構 戦略推進部 再生医療研究課 TEL:03-6870-2220

(その他NEDO事業についての一般的な問い合わせ先)

NEDO 広報部 担当:髙津佐、坂本、佐藤 TEL:044-520-5151 E-mail:nedo_press@ml.nedo.go.jp