壁面設置型の低反射環境配慮型太陽光発電システムを開発
―NEDO・カネカ、横浜市内の施設で実証試験を開始―
2016年2月25日
NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)
理事長 古川一夫
NEDOは、(株)カネカとの共同研究「太陽光発電多用途化実証プロジェクト」で、壁面設置型の低反射環境配慮型太陽光発電システムを開発し、実証試験を開始しました。
本システムは、壁面設置型の大きな課題である光害対策のための防眩機能を有し、また多彩な色をつけることで意匠性を高め、フレームレスで設置することが可能となるものです。本実証試験は、横浜市戸塚区の大成建設(株)技術センター内で実施。発電特性等を確認し、ZEBを実現する壁面設置型の太陽光発電システムの実用化を目指します。

1.概要
近年、ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)※実現に向けた取組が進められています。ZEBの推進には、建物の屋上だけでなく、壁面にも太陽光発電システムを導入し、建築物のエネルギー自給率を高めることが重要です。しかし、建物壁面への設置は、太陽電池モジュールから周囲への太陽光反射による光害等が発生しており、導入の支障の要因となっています。これまでNEDOと(株)カネカは、太陽電池モジュール表面の凹凸構造によって光散乱させ正反射を低減させるとともに、太陽電池モジュールの内部に光を閉じ込める技術を用いて発電効率を高めた低反射モジュールを開発し、兵庫県豊岡市の(株)カネカ ソーラーエネルギー事業部技術センター実証棟において、モジュールの表面構造の最適化等の評価を進めてきました。
今般、NEDOは、(株)カネカとの共同研究「太陽光発電多用途化実証プロジェクト」で、防眩機能を有し、意匠性を高めた壁面設置型の低反射環境配慮型太陽光発電システムを横浜市戸塚区の大成建設(株)技術センター内に設置し、発電特性等を確認する実証試験を開始しました。
本システムは、壁面設置型の大きな課題である光害対策のための防眩機能を有し、また多彩な色をつけることで意匠性を高め、フレームレスで設置することが可能となるものです。本実証試験では、色の自由度を高めた多彩な低反射モジュールの光を閉じ込める技術により、年間日射のほとんどが斜入射となる建物壁面設置の太陽光発電システムにおいて、年間発電量の向上を実証する計画です。本取組により、ZEBを実現する光害対策等の設置環境に配慮し、景観に調和した意匠性の高い壁面設置型の太陽光発電システムの実用化を目指します。
NEDOは、本共同研究における低反射環境配慮型太陽光発電システムの実証結果をもとに、今後、壁面設置型太陽光発電の普及に向けて検討を進めていく予定です。また、(株)カネカは、低反射環境配慮型太陽光発電システムの2017年度の商品化を目指し、ZEB実現に向けた取組を進めていきます。
【用語解説】
- ※ ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)
- Net Zero Energy Buildingの略で、建築構造や設備の省エネルギー、再生可能エネルギー・未利用エネルギーの活用、地域内でのエネルギーの面的(相互)利用などの対策をうまく組み合わせることにより、エネルギーを自給自足し、化石燃料などから得られるエネルギー消費量がゼロ、あるいは、概ねゼロ、となる建築物のことをいいます。
2.問い合わせ先
(本ニュースリリースの内容についての問い合わせ先)
NEDO 新エネルギー部 担当:小田、佐々木 TEL:044-520-5277
(その他NEDO事業についての一般的な問い合わせ先)
NEDO 広報部 担当:髙津佐、佐藤、坂本 TEL:044-520-5151 E-mail:nedo_press@ml.nedo.go.jp