米国の展示会で超小型光トランシーバの最新技術を紹介
―大容量LSI間で伝送速度25Gbpsを動態展示―
2016年3月22日
NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)
技術研究組合光電子融合基盤技術研究所
NEDOと技術研究組合光電子融合基盤技術研究所(PETRA)は、3月22日から24日(現地時間)にカリフォルニア・アナハイムで開催される世界最大の光通信の展示会「OFC(The Optical Fiber Communication Conference and Exposition)2016」にて、シリコンフォトニクス技術による世界最小5mm角の超小型光トランシーバ(光I/Oコア)を用いた、伝送速度25Gbpsの大容量LSI間伝送の動態展示を行います。
また、光I/Oコアを搭載した光トランシーバ用部品を静態展示することにより、様々なシステムベンダーとビジネスマッチングを行い、幅広い応用領域への展開を図ります。

1.概要
NEDOと技術研究組合光電子融合基盤技術研究所(PETRA)は、3月22日から24日(現地時間)にカリフォルニア・アナハイムで開催される世界最大の光通信の展示会「OFC(The Optical Fiber Communication Conference and Exposition)2016」に、プロジェクト成果デモとビジネスマッチングを目的とした光トランシーバモジュール用部品を出展します。
現在実施中のプロジェクト成果である、シリコンフォトニクス技術※1を用いた世界最小5mm角の超小型光トランシーバ(光I/Oコア※2)の応用技術として伝送速度25Gbps※3の大容量LSI間伝送を動態展示するとともに、CPU※4間大容量伝送技術を紹介します。
さらに、これまでのプロジェクト成果の幅広い応用領域への展開を目指して、光I/Oコアを適用する上で必要となるモジュール部品を展示し、システムベンダーなどとビジネスマッチングを図ります。
2.展示概要
NEDOとPETRAは、これまでにシリコンフォトニクス技術を用いて、世界最小の5mm角で、1Gbpsあたり5mWの消費電力、1チャンネルあたり25Gbpsの伝送速度の超小型光トランシーバ(光I/Oコア)を開発し、この光I/Oコアを大容量LSI(FPGA※5)周辺に実装するボードの試作、1チャンネルあたり25Gbpsの高速伝送、マルチモード光ファイバ※6を用いた300mの長距離伝送を実現して参りました。
超小型トランシーバに関わる成果を三つに分けて展示します。
(1)大容量LSI周辺に光I/Oコアを搭載した実装ボードの動態展示
現在実施中のプロジェクト成果として、FPGAからの25Gbps電気信号を光I/Oコアを介して光信号に変え、マルチモード光ファイバを300m伝送させた後、光I/Oコアで電気信号に戻す動態展示を実施します。FPGA近傍は温度変化が激しく、通常のレーザと用いた光トランシーバは安定した信号伝送が困難でした。光I/Oコアでは、温度安定性が高く反射戻り光耐性に優れた量子ドットレーザ※7を用いることで、FPGA近傍での安定な高速伝送を実現しました。
(2)CPU間大容量伝送技術
現在実施中のプロジェクト成果として、CPU間大容量光インターコネクトへの適用に向けてブリッジ構造を用いて高密度に光I/Oを配列した光I/O付きLSIパッケージのモックアップを展示します。
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図2 CPU間大容量光インターコネクトへの適用に向けた光I/O付きLSIパッケージ
(3)光I/Oコアの応用展開
これまでのプロジェクト成果として、光I/Oコア技術を様々な応用領域へ展開するために、光I/Oコアを適用した次の四つのモックアップを展示します。
- 光学エンジン※8
- 光コネクタ※9付光I/Oコア
- ストレージ向け実装ボード(Seagate社と共同)
- AOC(Active Optical Cable)※10
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図3 光I/Oコアを搭載した光トランシーバ用部品
3.「OFC2016」の開催概要
- 名称: OFC(The Optical Fiber Communication Conference and Exposition)2016
- 日時: 2016年3月22日(火)~3月24日(木)
- 場所: Anaheim Convention Center,Anaheim,California,US
- PETRAブース: 小間番号:2245 Japan Pavilion
- 公式サイト:
世界最大の光通信の展示会OFCは、部品メーカーやシステムベンダーからファイバ・ケーブルメーカー、ソフトウェア開発、測定機器メーカー、受託製造業者などあらゆる分野からの出展で最新製品、サービスなどが数多く展示され、部品・装置メーカー、システム会社、サービスプロバイダー、キャリアなどのテレコム、データコムからの来場者と活発なやり取りが予想されます。
【用語解説】
- ※1 シリコンフォトニクス技術
- シリコン基板上に光素子を形成する技術。シリコンを用いることにより光回路を小型化でき、大規模集積が可能になる。また、光回路と電子回路を一体形成や製造コストの低減が可能になるなどの特長を持つ。
- ※2 光I/Oコア
- 技術研究組合光電子融合基盤技術研究所が命名した、シリコンフォトニクス技術を用いた超小型の光トランシーバチッ プの名称。
- ※3 Gbps
- 通信回線などのデータ伝送速度の単位で、1秒間に1ギガ(1x109)ビットのデータを伝送する速度。
- ※4 CPU(Central Processing Unit)
- 情報処理機器において中心的な処理装置として働く集積回路であり、回路規模が大きなCPUでは、高速インタフェースを 多数備えている。
- ※5 FPGA(field-programmable gate array)
- 製造後に購入者や設計者が構成を設定できる集積回路で、デジタル信号処理等に使われる。回路規模が大きなFPGA では、高速インタフェースを多数備えている。
- ※6 マルチモード光ファイバ
- 光ファイバの種類を示す。シングルモード光ファイバは長距離伝送に優れるが、光が伝搬するコア径が10μmと小さい。一方、マルチモード光ファイバは、伝送距離が短くなるが、コア径が50μmと大きいため、光ファイバの取り付けが簡便になる特徴特長を持つ。
- ※7 量子ドットレーザ
- ナノメータサイズの半導体結晶の粒子を発光部に用いた半導体レーザ。
- ※8 光学エンジン
- 電子回路基板に搭載し、電気信号を光信号に変換するデバイス。
- ※9 光コネクタ
- 光部品の接続素子。
- ※10 AOC(Active Optical Cable)
- 電気信号を光信号に変換して伝送するケーブル。
4.問い合わせ先
(本ニュースリリースの内容についての問い合わせ先)
NEDO 電子・材料・ナノテクノロジー部 担当:水野、波佐 TEL:044-520-5211
技術研究組合光電子融合基盤技術研究所 TEL:03-5225-2362
(その他NEDO事業についての一般的な問い合わせ先)
NEDO 広報部 担当:坂本、佐藤、髙津佐 TEL:044-520-5151 E-mail:nedo_press@ml.nedo.go.jp